今日は日常の生活に関係の深い内容です。冬に橋や峠に,凍結防止剤と書いた紙袋をおいてあるのを知っていますか。道路が凍ると危ないですから,そのようなときに,凍結防止剤を道路にまくのです。それは,凝固点降下を利用したものなのです。また,スープやみそ汁などが沸騰しているときは,100℃を超えています。これは沸点上昇による現象です。 さて,純水と砂糖水とでは,どちらがはやく蒸発すると思いますか? |
1 沸点上昇と凝固点降下 (1) 蒸気圧降下 純水と砂糖水(スクロース水溶液)を同じ条件で放置する→純水の方が速く蒸発 不揮発性物質を溶かした溶液の蒸気圧<純溶媒の蒸気圧 →溶質分子と溶媒分子の親和力 蒸発しにくくなる |
不揮発性物質を溶かした溶液の蒸気圧は,純溶媒に比べて蒸気圧が低くなるります。下の図を見てください。同じ温度では,溶液の蒸気圧曲線は溶媒の蒸気圧曲線より低くなります。すなわち,p0−pの蒸気圧降下が起こります。また,蒸気圧p0が1atmのとき,溶媒の沸点はt0ですが,溶液の沸点はt となります。つまり,t−t0が沸点上昇度になります。 |
(2) 沸点上昇 溶媒の沸点=t0〔℃〕 溶液の沸点=t 〔℃〕 t−t0=Δt → 沸点上昇度 溶質の種類に無関係 溶媒に固有の値 水のモル沸点上昇=0.52〔K〕 溶液の質量モル濃度に比例 |
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実験10の結果を思い出してください。ブドウ糖,尿素,塩化ナトリウムなどを水に溶かして凝固点を測定しましたね。いずれも,水の凝固点より低くなっていました。この現象を,凝固点降下といいます。また,純溶媒と溶液の凝固点の差を,凝固点降下度といいます。うすい溶液では,沸点上昇度と同様,凝固点降下度は溶質の種類に無関係で,溶液の濃度(質量モル濃度)に比例します。ただし,塩化ナトリウムのような電解質のときは,電離後のイオンの濃度に比例します。 |
(3) 凝固点降下 水の凝固点=0.00〔℃〕 水溶液の凝固点=−t’ 0.00−(−t’)=Δt → 凝固点降下度 溶質の種類に無関係 溶媒に固有の値 水のモル凝固点降下 =1.86〔K〕 溶液の質量モル濃度に比例 |
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溶質が電解質のとき,凝固点降下度は,電離後の濃度に比例しますね。したがって,凝固点降下度がわかれば,電離のようすがわかることになります。塩化ナトリウムが完全に電離(解離)すれば,粒子の数が2倍になるはずです。したがって,同じ濃度の分子性物質より凝固点降下度が2倍になっていれば,粒子の数が2倍になっているはずだから,100%電離(解離)していることがわかるかわけです。 |
(4) 電解質の凝固点降下度 NaCl → Na+ + Cl− xmol xmol xmol →粒子は2xmol 水溶液の濃度に比例 NaClはほぼ100%解離 → α=1 Δt =1.86(1+α) 電離度を求めることができる |
凍結防止剤に,塩化カルシウムCaCl2がよく使われます。どうしてでしょう。値段が安いことも理由の一つでしょう。でも,まだ理由がありそうです。塩化カルシウムは,次のように電離します。 CaCl2 → Ca2+ + 2Cl− つまり,1mol の塩化カルシウムが完全に電離(解離)すると,3molのイオンが生じるのです。これは,同じ濃度であれば,分子性物質の3倍の凝固点降下度が期待できることを意味します。 生活の中に,化学を見つけましたね。まだまだたくさん,化学が潜んでいます。それを,これから見つけていきましょう。 |