2004年5月26日(水)04ko1-04 元素の周期律と希ガス 
 今日は,周期表と希ガスについて勉強します。具体的な内容は,
(1)周期律の発見
(2)希ガスの性質
(3)希ガスの発見
(4)希ガスの電子配置
です。
 周期表の発見は,ロシアのメンデレーエフが中心です。希ガスの発見では,イギリスのラムゼーが中心です。彼らの発見の舞台裏も覗いてみることにしましょう。
 最初は,メンデレーエフです。シベリアのトボルスクの中学校長を父として,14人兄弟の末子に生まれました。幼くして父を失い,生活の苦労を味わいながら成長しました。母はメンデレーフの素質を見抜き,彼に最高の教育を受けさせるために,首都のペテルスブルグに引っ越しました。しかし,大学の学区制のため,シベリアで教育を受けた彼は,ペテルスブルグ大学に入学することはできませんでした。母の努力により,結局彼は教育大学に入学しました。25才のときに,あこがれのヨーロッパ留学が認められまし。フランスとドイツで2年間過ごした後,かつて入学を許されなかったペテルスブルグ大学で化学を教えることになりました。講義用教科書を書きはじめた彼は,大きな問題にぶつかりました。当時,60種ほどの元素が知られていましたが,それらを体系的に取り扱う理論が欠けていたからです。原子量が一つの鍵になると思われました。ベルセリウスらの努力により,原子量はかなり正確に決められていたのです。彼は,元素を原子量の順に並べてみました。他にもこのような試みをした化学者はいましたが,彼の考えは一歩進んでいました。原子量の小さい元素から順に左から右へ配置し,しかも原子価の同じ元素が上下に並ぶように,何段にも重ねて並べたのでした。こうして周期表の最初の形ができました。彼はこの周期表を,1869年に口頭で,1871年に化学雑誌Liebig’s Annalenに掲載しました。周期表をつくってみて,表にいくつかの空席ができることに彼は気づきました。この空席には未発見の元素が入ると考えて,彼は1875年,未発見元素の性質を予言しました。1875年,ボアボードランにより発見されたガリウム,1879年,ニルソンによるスカンジウム,そして1886年,ウインクラーによるゲルマニウムは,その性質が彼の予言とほぼ同じでした。ここに,彼の名声は不動のものとなったのです。
 メンデレーエフは葉巻と紅茶が大好きだったようです。

                         

4 元素の周期律と希ガス
(1)周期律の発見
 メンデレーエフ(露)1869年周期表作成
 未発見の元素を予言
 エカアルミニウム→31Ga 1875年ボアボードラン(仏)
 エカホウ素→21Sc 1879年ニルソン(スウェーデン)
 エカケイ素→32Ge 1886年 ウィンクラー(独)
 同じ族に属する元素→同族元素→性質がよく似ている

 (例)1族元素→H以外をアルカリ金属
    2族元素→Be,Mg以外をアルカリ土類金属
    17族元素→ハロゲン
    18族元素→希ガス

 メンデレーエフの時代には,約60種ほどの元素しか知られていませんでしたが,高校の化学の教科書には109種の元素が紹介されています。それらの単体は,室温で固体のものが最多く,次が気体です。単体が室温で気体のものは,水素,ヘリウム,窒素,酸素,フッ素,ネオン,塩素,アルゴン,クリプトン,キセノン,ラドンの12種類です。18族元素の単体はすべて気体であることに注目しましょう。また,単体が室温で液体のものはわずか2種類だけです。臭素と水銀ですね。
                                    
 18族元素を希ガスといいます。希ガスの「希」は「まれ」という意味ですね。アルゴンを除いてその存在量は少なく,室温で気体であることより希ガスとよばれるようになったのです。 
 
名称と元素記号 空気中の存在比(体積%)
ヘリウム He  0.000524
ネオン Ne  0.00182
アルゴン Ar  0.934
クリプトン Kr  0.000114
キセノン Xe  0.0000087
 ヘリウムは気球などに,ネオンはネオンランプなどに用いられています。
                                
 アルゴンは空気中に体積で約1%含まれているため,希ガスではなく貴ガスとよぶ人がいます。でも,高校の教科書では希ガスです。

(2)希ガスの性質
 単体は沸点,融点が非常に低い
 →常温でいずれも気体
 化学的に安定である
 →化合物をつくりにくい

 常温で気体であり,化合物をつくりにくいということは,発見するのが困難であることがわかりますね。したがって,希ガス元素の発見は価値があるのです。では,どのようにして希ガスを発見したのでしょうか。
 1868年にフランスの天文学者ジャンセンとイギリスの天文学者ロッキャーは,ヘリウムを発見しました。彼らは,日蝕にさい,太陽の光球のなかに黄色い線を見つけて,地上の物質のスペクトルに見られないものなのでヘリウム(helios=太陽)と名付けました。イギリスの物理化学者ラムゼーは,1895年に,この元素が地球上にあることを発見しています。
                         
 ラムゼーの希ガスの発見の発端になったものは,大気から得られた窒素が,化合物を分解して得られた窒素よりも重いということでした。これは,ケンブリッジの実験物理学者レーリーの発見でした。ラムゼーは1894年からレーリーの承諾を得て,大気の窒素に関する研究をはじめました。空気中で電気の火花をとばすと,酸素と化合しない気体が残ります。その気体のスペクトルを調べると,窒素とは異なる特性を示しました。この気体は化学的に不活発なのでアルゴン(argos=怠けもの)と名付けられました。
 1897年ポーランドの化学者オルシェンスキーが液体空気をつくる装置を発明しました。その結果,液体空気の分留が可能になったのです。1898年,ラムゼーのもとに液体空気の残渣が少量届きました。スペクトルを調べると,新しい気体が含まれていることがわかりました。
 このように,わずか4年間に5種類もの未知元素を発見されたことは,科学の発見史における大エピソードです。

(3)希ガスの発見
 He 1868年 ジャンセン(仏),ロッキャー(英) helios(ギリシャ語で太陽)
 
10Ne 1897年 ラムゼー(英) neos(ギリシャ語で新しいもの)
 
18Ar 1894年 レーリー(英),ラムゼー(英) argos(ギリシャ語で怠惰なるもの)
 
36Kr 1897年 ラムゼー(英) kryptos(ギリシャ語で隠れたもの)
 
54Xe 1898年 ラムゼー(英) xenos(ギリシャ語で新生児)
 では,化学的に不活性な希ガス原子の電子配置はどのようになっているのでしょうか。
                          

(4)希ガス原子の電子配置
 He=K2   ┐閉殻…最大数の電子が収容された電子殻
 Ne=K2L8 ┘
 Ar=k2L8M8           ┐
 Kr=K2L8M18N8        │ 最外殻電子が8個 → 安定
 Xe=K2L8M18N18O8     │
 Rn=K2L8M18N32O18P8 ┘

 安定な粒子の条件は,原子の電子配置にあったのですね。
                               
 では,今日の勉強の確認です。
1.元素を原子番号の小さい順に並べると,単体の融点や沸点,原子やイオンの大きさなど,性質のよく似た元素が周期的に現れます。このような周期的な規則性を元素の何と言いますか?→周期律
2.周期表の原型は,1869年ロシアのある化学者によってつくられました。誰ですか?→メンデレーエフ
3.周期表の18族元素を何といいますか?→希ガス
4.18族元素の特徴を答えなさい。→原子どうしが結びつかず,化合物をつくりにくい。(単原子分子として存在する。)
5.18族元素を,原子番号の順に5つ答えなさい。→ヘリウムHe,ネオンNe,アルゴンAr,クリプトンKr,キセノンXe