2004年6月2日(水)04ko1-05 電気泳動とイオン
イオンということばを聞いたことはありますね。イオンは,マイケル・ファラデーによって命名されました。「ろうそくの科学」は,彼が少年・少女のために行ったクリスマス公演をもとにしてまとめられたものです。![]() ところで,イオンionとは電気を帯びた粒子のことです。どうして電気を帯びた粒子が安定に存在するのでしょうか。また,中学校のときに学んだ電気分解や電池は,イオンが関係しているのです。イオンの考え方を使うと,電気分解や電池の説明が簡単になります。がんばって勉強しましょう。具体的な今日の内容は, (1)電気泳動 (2)イオンの電子配置 (3)イオンの生成とエネルギー (4)原子とイオンの大きさ です。 まず,電気泳動の実験を観察しましょう。 ![]() |
5 イオン (1)電気泳動 電解質…水溶液が電流を通す物質 (例)塩化ナトリウム,塩化銅(II),硝酸カリウム 非電解質…水溶液が電流を通さない物質 (例)ショ糖(スクロース) |
電気泳動の実験について考えてみましょう。陰極側に動く青いしみは,+,−のどちらの電気を帯びているでしょうか。また,硝酸銀水溶液を吹きかけると灰白色のしみができました。このしみの部分にあったものは,+,−のどちらの電気を帯びているでしょうか。塩化銅(II)は,水に溶けると,+の電気を帯びている粒子と,−の電気を帯びている粒子に分かれることがわかりますね。電解質は,水溶液中で電気を帯びた粒子に分かれるのです。このような現象を電離といいます。また,電気を帯びた粒子をイオンといいます。 青色のしみは陰極に動いていますから,+の電気を帯びた粒子であることがわかります。このように,+の電気を帯びたイオンを陽イオンといいます。また,硝酸銀水溶液をふきかけて灰白色になった粒子は,硝酸銀水溶液を吹きかける前は,−の電気を帯びていることがわかります。このように,−の電気を帯びたイオンを陰イオンといいます。 塩化銅(II)は水溶液中で,次のように電離します。 CuCl2→Cu2++2Cl− したがって,陰極に向かって移動した青色のしみはCu2+(銅(II)イオン),陽極に向かって移動したものはCl−(塩化物イオン)ということになります。 でも,どうして銅原子は2価の陽イオンになり,塩素原子は陰イオンになるのか不思議ですね。その理由を考えることにしましょう。 |
(2)イオンの電子配置 イオン…電気を帯びた粒子 陽イオン…正の電気を帯びたイオン←原子が電子を失う 陰イオン…負の電気を帯びたイオン←原子が電子を得る <陽イオン> 11Na=K2L8M1 Na+=K2L8 ┐ 12Mg=K2L8M2 Mg2+=K2L8 ├ 10Ne 13Al =K2L8M3 Mg3+=K2L8 ┘ 価電子を放出して希ガス原子と同じ電子配置をとる 陽イオンになりやすい性質→陽性 <陰イオン> 16S=K2L8M6 S2−=K2L8M8 ┐ 18Ar 17Cl=K2L8M7 Cl−=K2L8M8 ┘ 電子を受け入れて希ガス原子と同じ電子配置をとる 陰イオンになりやすい性質→陰性 |
希ガス原子と同じ電子配置をとるためにイオンになると言ったら言いすぎでしょうか。でも,結果的には,陽イオンも陰イオンも,希ガス型電子配置をとっています。次にエネルギー的に,イオンのなりやすさを考えてみましょう。ここでは,イオン化エネルギーと電子親和力について紹介します。イオン化エネルギーは,電子を放出して陽イオンになるのに必要なエネルギーと定義されています。したがって,値が小さいほど陽イオンになりやすいと考えられますね。一方,電子親和力は,電子を受け取って陰イオンになったとき,どれだけのエネルギーを放出するかという定義です。したがって,値が大きいほど安定しているわけですね。 ![]() |
|
(3)イオンの生成とエネルギー <イオン化エネルギー> 第一イオン化エネルギー…M→M++e− に必要なエネルギー 1族元素の原子が小→1価の陽イオンになりやすい 第二イオン化エネルギー…M+→M2++e− に必要なエネルギー 2族元素の原子が小→2価の陽イオンになりやすい イオン化エネルギー(I:第1イオン化エネルギー,II:第2イオン化エネルギー〔eV=96kJ/mol〕)
<電子親和力> X+e−→X−のとき,放出するエネルギー 17族元素の原子が大→陰イオンになりやすい 電子親和力〔eV=96kJ/mol〕
|
それでは,陽イオンや陰イオンになったとき,粒子の大きさはどうなるのでしょうか。その前に,原子の大きさから考えてみましょう。![]() |
|
(4)原子とイオンの大きさ <最外殻が同じ原子> 原子番号が大きいほど半径が小さい 11Na>12Mg>13Al <陽イオン> 半径は小さくなる 11Na>Na+ 最外殻の価電子を放出 <陰イオン> 半径は大きくなる 17Cl<Cl− 最外殻に新たな電子が配置 |
原子番号が大きいほど半径が小さいなんて,意外だったのではないですか。原子核の正の電荷が大きくなると,電子を引きつける力が強くなるからだと考えられています。しかし,電子殻が1つ増えると,まちがいなく原子の半径は大きくなります。陽イオンと陰イオンが,静電気的に引きつけあうのは納得できますね。これがクーロン力です。 それでは,今日の勉強の確認です。 1.水溶液が電気を通す物質と,通さない物質を,それぞれ何といいますか?→電解質,非電解質 2.ナトリウムイオンと同じ電子配置の原子は何ですか?また,塩化物イオンと同じ電子配置の原子は何ですか?ネオン原子,アルゴン原子 3.原子から電子1個取り去って,陽イオンにするときに必要な最小のエネルギーを何といいますか?→イオン化エネルギー 4.原子が最外殻に電子1個受け取って陰イオンになるとき,放出するエネルギーを何といいますか?→電子親和力 5.最外殻が同じ原子ででは,原子番号が大きいほど原子の半径はどうなりますか?→原子核の正電荷が大きいほど電子を強く引きつけるので,原子の半径は小さくなる。 6.原子が陽イオンになると,その半径はどのようになりますか?また,陰イオンになるときはどうですか?→陽イオンになるときは半径は小さくなる。陰イオンになるときは半径は大きくなる。 |