今日は結晶についての勉強です。塩化ナトリウムの結晶は立方体であることを知っていますね。どうして,塩化ナトリウムは立方体の結晶になるのでしょうか。今日の勉強の具体的な内容は, (1)結晶 (2)イオン結合 (3)イオン結晶 (4)共有結合の結晶 です。 それでは最初に,結晶の説明を行いましょう。それにしても,雪の結晶は,不思議な形をしています。 ![]() |
8 結晶 (1)結晶 原子・分子・イオンなどの粒子が規則正しく配列し,単純な単位構造が並んだ固体 結晶中の立体的・規則的な粒子の配列構造→結晶格子 結晶格子の繰り返しの最小単位→単位格子 |
結晶内のすべての単位格子の同じ場所では,同じ粒子が配置されています。次は,イオンの結晶です。その前に,ナトリウムと塩素の反応について考えてみましょう。 塩素を集気瓶に取り,その中に加熱したナトリウムを入れると,激しく反応して塩化ナトリウムができます。この反応は,どのように考えたらよいのでしょうか。まず,ナトリウム原子は電子を1個放出してネオンと同じ電子配置をとります。ナトリウムの放出した電子を塩素原子が受け取り,アルゴンと同じ電子配置をとります。すなわち,ナトリウム原子は電子1個失っていますから,1価の陽イオンとなっていますね。また,塩素原子は電子1個受け取っていますから,1価の陰イオンになっていますね。陽イオンと陰イオンは静電気力(クーロン力)によって引きつけあいます。これがイオン結合です。 |
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(2)イオン結合 陽イオンと陰イオンとの間ではたらく静電気力(クーロン力)によって結合する。 (例) Na+(K2L8) ←引き合う→ Cl−(K2L8M8) |
代表的なイオン結晶に塩化ナトリウムの結晶がありますね。中学校のときに勉強したと思いますが,立方体の形をしています。![]() では,イオン結晶には,どのような性質があるのでしょうか。 |
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(3)イオン結晶 一般に硬い←結合力が強い もろい←ずれると同種のイオンで反発 沸点・融点の高いものが多い (例) NaCl 単位格子内に Na+4個,Cl−4個 Na+の数:Cl−の数=1:1 Na1Cl1=NaCl…組成式(構成元素の組成を示す式) |
次は共有結合の結晶です。分子結晶と混合しないようにしてください。共有結合の結晶は,すべての原子が共有結合によって結びついているのです。炭素,ケイ素の単体や二酸化ケイ素などがこのような結晶をつくりやすいのです。炭素の代表的な結晶はダイヤモンドですね。![]() |
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(4)共有結合の結晶 多数の原子が次々と共有結合してできた結晶 一般に融点が高く,高いものが多い←結合力が強い 一般に電気を通さず,水に溶けにくい (例)炭素の単体→ダイヤモンド,黒鉛,フラーレン 二酸化ケイ素 <ダイヤモンド> C原子が他の4個のC原子と共有結合→1個の巨大な分子 きわめて硬い 融点が高い 3550℃ <黒鉛> C原子が他の3個のC原子と共有結合→巨大な平面状網目構造 平面どうしは弱いファンデルワールス力→ずれやすく軟らかい C原子の価電子のうち1個は平面状の網に沿って動くことができる→電気を通す <二酸化ケイ素> SiO2 石英(水晶)などの結晶,ケイ砂の主成分 正四面体が結晶構造の単位→ダイヤモンドのC-C結合をSi-O-Si結合に置き換えたような構造 |
最後に,フラーレンC60について説明しておきましょう。C60分子の存在は,豊橋技術大学の大沢映二教授が1970年に最初に予想しました。π電子が3次元的に移動できる分子を考案している中で予想したものです。しかし,C60は1985年に英米の化学者H.W.クロート(サセックス大学),R.E.スモーリー(ライス大学)の共同研究により実際に発見されました。二人はクラスターについて研究し,一連の物質をフラーレンとよびました。 クラスターとは,原子が数個〜数百個集まった集合体のことで,結晶や個々の原子・分子とは異なった性質を示します。真空中で黒鉛に強力なレーザーを照射すると炭素原子となって蒸発しますが,真空中で炭素原子が集まると共有結合の分子すなわち炭素クラスターができます。クロートたちは,炭素蒸気中にごく微量のC60とともにC70を見出し,サッカーボール・ラグビーボール型の分子を想定しました。得られたクラスターは微量でしたが,その大部分はC60であったといいます。クロートたちはC60を検出したものの,これを単離することはできなかったのです。 C60をグラム単位で取り出すことに成功したのは1990年で,W.Kratschmer(マックスプランク核物理学研究所),D.R.Huffman(アリゾナ大学)の共同研究によります。彼らは,ヘリウムガス中で黒鉛に電流を通じてススをつくり,その中のベンゼンに溶ける成分をカラムクロマト法で分離して取り出しました。 C60の正確な分子構造は,5Kに冷却した結晶の中性子回折により求められました。そして,12個の五角形と20個の六角形からなるサッカーボール型であることが確定したのです。C60分子の直径は約0.7nmで,分子内に金属イオンや小さい分子を取り込む余地が十分にあるといいます。1996年のノーベル科学賞は,フラーレンC60の発見に対して,サセックス大学のクロート(英),ライス大学のスモーリーと カール(米)の三教授に与えられました。 ![]() 今日の勉強では,共有結合の結晶と,前回学習した分子結晶の違いがポイントです。共有結合の結晶では,すべての原子が共有結合によって結びついています。しかし,分子結晶では,原子どうしが共有結合で分子をつくっていますが,分子どうしはファンデルワールス力によって結びついています。 それでは,今日の勉強の確認です。 1.純物質の固体で,構成粒子が規則正しく配列したものを何といいますか?→結晶 2.陽イオンと陰イオンの静電気的引力による結びつきを何といいますか?→イオン結合 3.イオンから物質の結晶を何といいますか?→イオン結晶 4.多数の原子が次々と共有結合して巨大な分子になった結晶を何といいますか?→共有結合の結晶 5.ダイヤモンドと黒鉛は,それぞれC原子は他の何個のC原子と共有結合していますか?→ダイヤモンド;4個,黒鉛;3個 6.黒鉛が電気を導く理由は何ですか?→C原子の価電子のうち1個は,平面状分子にそって動くことができるからです。 |