2004年9月29日(水) 04ko1-14 アボガドロ定数とアボガドロの法則

 今日は,アボガドロ定数とアボガドロの法則です。アボガドロはイタリアの化学者であったことは,以前に紹介しましたね。彼が1811年に分子説を提唱しました。現在では分子の存在を疑う者はいません。しかし,当時はまったく認められませんでした。彼の仮説は約半世紀も埋もれたままでした。1860年の9月,万国化学会議が開かれ,化学記号の統一問題などを協議したときに掘り出されました。その席上でアボガドロの門弟,カニザーロの「科学哲学教程要領」という題目の小冊子により,アボガドロの真価が認められました。もちろん,彼はすでになくなっていたのです。カニザーロは有機化学の分野で多くの業績を残していますが,最も大きい業績は,アボガドロの再発見だったかもしれません。
 さて,今日はアボガドロの名前に関係する定数と法則が中心です。具体的には,
(1)アボガドロ定数の測定
(2)天日塩に含まれるNaClの数
(3)アボガドロの法則
(4)モル体積
です。
 では,塩化ナトリウムの結晶を使って,アボガドロ定数を求めてみましょう。
 
海岸 岩塩 

12 アボガドロ定数とアボガドロの法則
(1)アボガドロ定数の測定
1 天日塩の結晶を直方体にする。
2 ノギスを使って結晶の3辺の長さを正確に測定する。
    
3 天日塩の結晶の質量を測定する。
    
 それでは,測定結果を確認しましょう。
 
3辺の長さをそれぞれ,mm,mm,mmとすると,その体積はxyzmmですね。すなわち,xyz×10−3cmです。質量をgとしましょう。
 塩化ナトリウムの単位格子の1辺の長さは,Naの直径とClの直径の和になります。したがって,それぞれのイオン半径の和を2倍すればいいですね。
塩化ナトリウムの単位格子の体積={(1.16×10−8+1.67×10−8)×2}=1.81×10−22〔cm
 また,塩化ナトリウムの単位格子には,4個の粒子が含まれています。したがって,体積が1.81×10−22cmのとき4個の粒子が含まれていますから,体積がxyz×10−3cmのとき含まれている粒子の数を個とすると,
=4×(xyz×10−3)/(1.81×10−22) となります。
 これで,塩化ナトリウムgに含まれる粒子の数がわかりました。では,塩化ナトリウム1molすなわち58.5gに含まれる粒子の数はいくらでしょうか。
 ノギスを使わなくても,簡単に天日塩の体積を調べる方法があります。塩化ナトリウムが溶けない溶媒をメスシリンダーに適量入れておき,この溶媒に天日塩をつけて,体積の増加量をはかります。しかし,メスシリンダーの目盛りを使うことになりますから,ノギスを使うより精度が悪くなりますね。
   

(2)天日塩に含まれるNaClの数
 塩化ナトリウムの単位格子の体積={(1.16×10−8+1.67×10−8)×2}=1.81×10−22〔cm
 塩化ナトリウムの単位格子に含まれる粒子数=4〔個〕
 塩化ナトリウムの結晶の体積=xyz×
10−3〔cm
 塩化ナトリウムの結晶に含まれる粒子の数=
4×(xyz×10−3)/(1.81×10−22)〔個〕
 塩化ナトリウム1molに含まれる粒子の数=
4×(xyz×10−3)/(1.81×10−22}×58.5/〔/mol〕
 xyzの測定値を代入して計算してみましょう。有効数字は2桁ですから,6.0×1023になると大成功ですね。
 今,xyz が3.1cm
が6.51gとしましょう。
 塩化ナトリウムの結晶の体積=
3.1〔cm
 塩化ナトリウムの結晶に含まれる粒子の数=
4×
3.1/(1.81×10−22)〔個〕
 塩化ナトリウム1molに含まれる粒子の数=
4×3.1/(1.81×10−22}×58.5/
6.51〔/mol〕
                            ≒6.2×10
−23〔/mol〕
 次は,アボガドロの法則です。アボガドロは分子説を提出するとき,1つの仮説をたてました。その仮説は,「同じ温度,同じ圧力,同じ体積で比較したとき,すべての気体は同じ数の分子を含む」というものでした。原子ではなく,分子としたことが注目されますね。その結果,気体反応の法則がきちんと説明できたのです。

(3)アボガドロの法則
 1811年 アボガドロ(伊)
 すべての気体は,同温・同圧では,同体積中に同数個の分子を含む
 アボガドロの法則については,次回に実験で確かめてみることにしましょう。
 ところで,1molは同数個の粒子の集団ですから,すべての気体1molの体積は,同温・同圧では等しくなるはずですね。では,気体1molの体積はどれくらいになるのでしょうか。

(4)モル体積
 気体1molの体積
 アボガドロの法則→気体1molの体積は等しい
標準状態の密度〔g/ 1molの質量〔g〕 1molの体積〔
0.0898 2.016 22.4
1.25 28.0 22.4
1.43 32.0 22.4
Ne 0.900 20.2 22.4
 標準状態(0℃,1atm)で気体1molの体積は22.4 になる
                 
 今日は実験で,アボガドロ定数を確かめることができましたね。次回は実験で,アボガドロの法則を確かめてみましょう。
 それでは,今日の授業内容の確認です。
1.物質が気体のとき,同温・同圧のもとで,同体積の気体は,気体の種類に関係なく同数個の分子を含みます。これを何の法則と言いますか?→アボガドロの法則
2.標準状態とは,どのような状態ですか?→0℃,1atm(1013.25hPa)
3.標準状態の気体1molの体積は,何 ですか?→22.4l
4.標準状態において,メタンCH8.0gの体積は何 ですか。ただし,メタン1molは16gです。→11l