2004年10月27日(水) 04ko1-16 化学反応式と化学変化の量的関係
 物質量がマスターできると,化学変化の量的関係について考えることができます。しかし,その前に必要なものがあります。それは化学反応式が正しくかけるということです。今日は,化学反応式と化学変化の量的関係についての勉強です。具体的には,
(1)化学反応式
(2)イオン反応式
(3)モル濃度
(4)化学変化の量的関係
です。では,化学反応式からはじめましょう。中学校のときに,簡単な化学反応式を勉強しましたね。化学反応式にはどのようなきまりがありましたか。
                

13 化学反応式と化学変化の量的関係
(1)化学反応式
 化学変化において,反応する物質(反応物)と生じる物質(生成物)の関係を,化学式を用いて示した式
 (例)NaCl+AgNO→AgCl↓+NaNO
    CaCO+2HCl→CaCl+HO+CO
    化学反応式中の↓は沈殿の生成を,↑は気体の発生を示す。 
<化学反応式のつくり方>
 1)反応物の化学式を左辺に,生成物の化学式を右辺にかいて,→で結ぶ。溶媒や触媒などはかき入れない。
 2)左辺と右辺でどの元素も原子の数が等しくなるように,化学式の前に係数をつける。係数は最も簡単な整数比で表し,1を省略する。      
 係数が簡単に決められない化学反応式があります。そのようなときには,係数を未知数とし,両辺の各原子数に関する連立方程式をつくり,その値を求める未定係数法という方法を使います。例えば,アセチレンCを完全に燃やすと,二酸化炭素COと水HOができます。この化学反応式を考えてみましょう。
各化学式の係数をとおくと,
CO
となりますね。両辺の各原子の数は互いに等しいはずですから,次の関係が成り立ちます。
Cの係数から 2
Hの係数から 2 =2
Oの係数から 2 =2
を1とすると, =2, =1, =5/2
係数は整数だから,全体を2倍すると,次の化学反応式が得られます。
2C+5O→4CO+2H
  
 次はイオン反応式です。NaCl+AgNO→AgCl↓+NaNO の反応について考えてみましょう。
 塩化ナトリウムは水溶液中でイオンに分かれていますね。NaCl→Na+Cl
 硝酸銀も水溶液中でイオンに分かれています。AgNO→Ag+NO
 生成した硝酸ナトリウムも水溶液中でイオンに分かれています。NaNO→Na+NO
 すなわち,ナトリウムイオンNaと硝酸イオンNOは,変化していないことになります。

(2)イオン反応式
 イオンが関係する反応において,反応しないイオンを省略した化学反応式
 左辺のもつ電気の量と右辺がもつ電気の量は等しい
 (化学反応式) NaCl+AgNO→AgCl↓+NaNO
 (反応しないイオンを消去) Ag+NO+Na+Cl→AgCl↓+Na+NO
 (イオン反応式) Ag+Cl→AgCl↓
 
 (化学反応式) CaCO+2HCl→CaCl+HO+CO
 (反応しないイオンを消去) CaCO+2H+2Cl→Ca2++2Cl+HO+CO
 (イオン反応式) CaCO+2H→Ca2++HO+CO
 濃度というと%濃度を思い出しますね。しかし,この濃度は溶媒の質量と溶液の質量の関係を表したものです。化学では,物質の質量より粒子の数を知りたいことが多いのです。そこで,モル濃度です。
          

(3)モル濃度
 溶液1 あたりの溶質の物質量〔mol〕であらわした濃度
 / 〔mol/ 〕 :溶質の物質量〔mol〕, :溶液の体積〔
  〔mol/ 〕の溶液を 〔ml 〕とったとき,その溶液に含まれる溶質の物質量→cv /1000〔mol〕
 モル濃度で表される水溶液をつくるときは,メスフラスコを使います。メスフラスコの使い方を説明しましょう。1.00mol/ の塩化ナトリウム水溶液をつくるには,1 のメスフラスコを使うと便利です。塩化ナトリウム1molは58.5gですから,58.5gの塩化ナトリウムを溶かして,水溶液を1 にすればよいのです。ただし,メスフラスコの中で塩化ナトリウムを溶かしてはいけません。溶解熱により容量が変化するかもしれないからです。ビーカーの中で塩化ナトリウムを水に溶かして,メスフラスコに移します。もっちろん何度もビーカーを水で洗う必要があります。洗液もメスフラスコに移します。最後に水を加え,水面を標線と一致させます。しかし,ここで終わりではありません。水溶液の濃度を均一にするため,よく振ることが必要です。活栓をして,口を下にしたり上にしたり繰り返します。
 それでは,最後に化学変化の量的関係について考えることにしましょう。化学反応式は2つのことを意味しています。

(4)化学変化の量的関係 
<化学反応式の意味>
 1)反応で変化する物質の種類を,物質の化学式で表す
 2)反応で変化する物質の粒子の数の比,すなわち物質量(mol)の比を,係数で表す
<量的関係>
(化学反応式) 2H  +  O  →  2HO(気)
(物質量)    2mol     1mol    2mol
(質量)      2×2.0g   32.0g   2×18.0g
(体積)      2×22.4  22.4    2×22.4
体積は標準状態に換算したもの
 次回は,実験で量的関係について調べてみます。炭酸カルシウムCaCOに塩酸HClを加えると,二酸化炭素COが発生しますね。この反応を,ビーカーの中で行うと,生成した二酸化炭素が逃げますから,その分質量が減少します。もし,質量の減少分を発生した二酸化炭素の質量と仮定すると,炭酸カルシウム,塩酸,二酸化炭素の量的関係がわかるはずですね。さて,どうなるでしょうか。
                       
 今日の授業の学習内容の確認です。
1.化学変化において,反応する物質と生じる物質の関係を,化学式を用いて示した式を何といいますか?→化学反応式または反応式
2.次の化学変化を,1の式を使って示しなさい。アセチレンが完全燃焼すると,二酸化炭素と水になる。→ 2C+5O→4CO+2H
3.イオンが関係する反応において,反応しないイオンを省略した1の式を何といいますか?→イオン反応式
4.次の化学変化を,3の式を使って示しなさい。硫酸銅(II)水溶液に亜鉛を入れると,亜鉛はイオンになって水溶液に溶け,銅は金属の単体に変化する。→Cu2++Zn→Cu+Zn2+
5.密度1.1g/cm,質量パーセント濃度20%の塩酸のモル濃度はいくらですか?→塩酸1l の質量は,1000×1.1=1100〔g〕です。1100gの塩酸には,塩化水素は1100×20/100=220〔g〕の塩化水素が溶けています。220gの塩化水素は,塩化水素のモル質量が36.5g/molですから,220/36.5=6.02…〔mol〕ですから,約6.0mol/l となります。