物質量がマスターできると,化学変化の量的関係について考えることができます。しかし,その前に必要なものがあります。それは化学反応式が正しくかけるということです。今日は,化学反応式と化学変化の量的関係についての勉強です。具体的には,(1)化学反応式 (2)イオン反応式 (3)モル濃度 (4)化学変化の量的関係 です。では,化学反応式からはじめましょう。中学校のときに,簡単な化学反応式を勉強しましたね。化学反応式にはどのようなきまりがありましたか。 ![]() |
13 化学反応式と化学変化の量的関係 (1)化学反応式 化学変化において,反応する物質(反応物)と生じる物質(生成物)の関係を,化学式を用いて示した式 (例)NaCl+AgNO3→AgCl↓+NaNO3 CaCO3+2HCl→CaCl2+H2O+CO2↑ 化学反応式中の↓は沈殿の生成を,↑は気体の発生を示す。 <化学反応式のつくり方> 1)反応物の化学式を左辺に,生成物の化学式を右辺にかいて,→で結ぶ。溶媒や触媒などはかき入れない。 2)左辺と右辺でどの元素も原子の数が等しくなるように,化学式の前に係数をつける。係数は最も簡単な整数比で表し,1を省略する。 |
係数が簡単に決められない化学反応式があります。そのようなときには,係数を未知数とし,両辺の各原子数に関する連立方程式をつくり,その値を求める未定係数法という方法を使います。例えば,アセチレンC2H2を完全に燃やすと,二酸化炭素CO2と水H2Oができます。この化学反応式を考えてみましょう。各化学式の係数をa,b,c,dとおくと, a C2H2+b O2→c CO2+d H2O となりますね。両辺の各原子の数は互いに等しいはずですから,次の関係が成り立ちます。 Cの係数から 2a =c Hの係数から 2a =2d Oの係数から 2b =2c +d a を1とすると,c =2,d =1,b =5/2 係数は整数だから,全体を2倍すると,次の化学反応式が得られます。 2C2H2+5O2→4CO2+2H2O ![]() 次はイオン反応式です。NaCl+AgNO3→AgCl↓+NaNO3 の反応について考えてみましょう。 塩化ナトリウムは水溶液中でイオンに分かれていますね。NaCl→Na++Cl− 硝酸銀も水溶液中でイオンに分かれています。AgNO3→Ag++NO3− 生成した硝酸ナトリウムも水溶液中でイオンに分かれています。NaNO3→Na++NO3− すなわち,ナトリウムイオンNa+と硝酸イオンNO3−は,変化していないことになります。 |
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(2)イオン反応式 イオンが関係する反応において,反応しないイオンを省略した化学反応式 左辺のもつ電気の量と右辺がもつ電気の量は等しい (化学反応式) NaCl+AgNO3→AgCl↓+NaNO3 (反応しないイオンを消去) Ag++NO3−+Na++Cl−→AgCl↓+Na++NO3− (イオン反応式) Ag++Cl−→AgCl↓ (化学反応式) CaCO3+2HCl→CaCl2+H2O+CO2↑ (反応しないイオンを消去) CaCO3+2H++2Cl−→Ca2++2Cl−+H2O+CO2↑ (イオン反応式) CaCO3+2H+→Ca2++H2O+CO2↑ |
濃度というと%濃度を思い出しますね。しかし,この濃度は溶媒の質量と溶液の質量の関係を表したものです。化学では,物質の質量より粒子の数を知りたいことが多いのです。そこで,モル濃度です。![]() |
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(3)モル濃度 溶液1l あたりの溶質の物質量〔mol〕であらわした濃度 n/V 〔mol/l 〕 n:溶質の物質量〔mol〕,V :溶液の体積〔l 〕 c 〔mol/l 〕の溶液をv 〔ml 〕とったとき,その溶液に含まれる溶質の物質量→cv /1000〔mol〕 |
モル濃度で表される水溶液をつくるときは,メスフラスコを使います。メスフラスコの使い方を説明しましょう。1.00mol/l の塩化ナトリウム水溶液をつくるには,1l のメスフラスコを使うと便利です。塩化ナトリウム1molは58.5gですから,58.5gの塩化ナトリウムを溶かして,水溶液を1l にすればよいのです。ただし,メスフラスコの中で塩化ナトリウムを溶かしてはいけません。溶解熱により容量が変化するかもしれないからです。ビーカーの中で塩化ナトリウムを水に溶かして,メスフラスコに移します。もっちろん何度もビーカーを水で洗う必要があります。洗液もメスフラスコに移します。最後に水を加え,水面を標線と一致させます。しかし,ここで終わりではありません。水溶液の濃度を均一にするため,よく振ることが必要です。活栓をして,口を下にしたり上にしたり繰り返します。それでは,最後に化学変化の量的関係について考えることにしましょう。化学反応式は2つのことを意味しています。 |
(4)化学変化の量的関係 <化学反応式の意味> 1)反応で変化する物質の種類を,物質の化学式で表す 2)反応で変化する物質の粒子の数の比,すなわち物質量(mol)の比を,係数で表す <量的関係> (化学反応式) 2H2 + O2 → 2H2O(気) (物質量) 2mol 1mol 2mol (質量) 2×2.0g 32.0g 2×18.0g (体積) 2×22.4l 22.4l 2×22.4l 体積は標準状態に換算したもの |
次回は,実験で量的関係について調べてみます。炭酸カルシウムCaCO3に塩酸HClを加えると,二酸化炭素CO2が発生しますね。この反応を,ビーカーの中で行うと,生成した二酸化炭素が逃げますから,その分質量が減少します。もし,質量の減少分を発生した二酸化炭素の質量と仮定すると,炭酸カルシウム,塩酸,二酸化炭素の量的関係がわかるはずですね。さて,どうなるでしょうか。![]() 今日の授業の学習内容の確認です。 1.化学変化において,反応する物質と生じる物質の関係を,化学式を用いて示した式を何といいますか?→化学反応式または反応式 2.次の化学変化を,1の式を使って示しなさい。アセチレンが完全燃焼すると,二酸化炭素と水になる。→ 2C2H2+5O2→4CO2+2H2O 3.イオンが関係する反応において,反応しないイオンを省略した1の式を何といいますか?→イオン反応式 4.次の化学変化を,3の式を使って示しなさい。硫酸銅(II)水溶液に亜鉛を入れると,亜鉛はイオンになって水溶液に溶け,銅は金属の単体に変化する。→Cu2++Zn→Cu+Zn2+ 5.密度1.1g/cm3,質量パーセント濃度20%の塩酸のモル濃度はいくらですか?→塩酸1l の質量は,1000×1.1=1100〔g〕です。1100gの塩酸には,塩化水素は1100×20/100=220〔g〕の塩化水素が溶けています。220gの塩化水素は,塩化水素のモル質量が36.5g/molですから,220/36.5=6.02…〔mol〕ですから,約6.0mol/l となります。 |