2004年12月1日(水) 04ko1-20 酸性・塩基性の強さ
中学校では,純粋な水は電流を通さないと習いましたね。確かに,中学校で使う電流計では,ほとんど針は振れません。しかし,本当に電流を通さないのでしょうか。ドイツのコールラウシュW.G.Kohlrauschという物理学者は,特別の蒸留装置を使って,空気やガラスに触れさせないように数十回蒸留をくり返し,その純粋について調べたそうです。彼の最後の言葉?「それでも水は電気を通す」。彼のつくった水は,有史以来最も純粋な水であると考えられています。 ![]() 今日の勉強の具体的内容は, (1)水のイオン積 (2)水素イオン濃度と液性 (3)pH です。 pHは日常よく聞く言葉ですが,この機会にきちんと理解しておきましょう。 |
15 酸性・塩基性の強さ (1) 水のイオン積 純粋な水はごくわずかに電離している H2O ⇔ H+ + OH− [H+][OH−] K =―――――― [H2O] [H+][OH−]=K [H2O]=K w (水のイオン積) K w =1.0×10−14〔(mol/l )2〕(25℃) K w の値は高温ほど大きくなる |
なお,[H+]は水素イオン濃度,[OH−]は水酸化物イオン濃度,[H2O]は水の濃度を表しています。水のイオン積は,温度のよって次のように変わります。普通は,25℃の値を使うようです。
水のイオン積から,水素イオンの濃度と水酸化物イオンの濃度の積が一定で,それが1.0×10−14〔(mol/l )2〕であるということがわかります。したがって,酸性だから水酸化物イオンが存在しない,塩基性だから水素イオンが存在しないということにはなりません。では,どう考えたらよいのでしょうか。 中性のときは,水素イオンの濃度と水酸化物イオンの濃度が等しくなっているのです。どちらも存在していて,その濃度はそれぞれ1.0×10−7〔mol/l 〕なのです。酸性とは,中性のときより水素イオンの濃度が大きくなっているはずですから,その濃度は1.0×10−7〔mol/l 〕よりも大きくなっています。もちろん,水酸化物イオンの濃度は,1.0×10−7〔mol/l 〕よりも小さくなっています。 また,水素イオンの濃度が大きければ大きいほど,強い酸性であるといえます。また,水酸化物イオンの濃度が大きければ大きいほど,強い塩基性であるといえます。 |
(2) 水素イオン濃度と液性 [H+][OH−]=K w K w 1.0×10−14 [H+]=―――――=―――――― 〔mol/l 〕 [OH−] [OH−] [H+]=[OH−]=√K w =1.0×10−7 酸性のとき [H+]>1.0×10−7mol/l >[OH−] 塩基性のとき [H+]<1.0×10−7mol/l <[OH−] |
そこで,いよいよpHの登場です。まず,読み方ですが,現在では英語読みが主流です。教科書にもピーエイチと書いてありますね。以前はペーハーとよんでいました。授業では,ピーエイチとよぶようにしましょう。pHはデンマークのソレンセンが1909年に考案したものであるといわれていますが,pHは何の頭文字であるかは,いろいろ説があるようです。その中で,最も有力な説が,potential hydrogenです。日本語では,水素イオン指数と訳されています。 数学で対数を勉強しているでしょうか。まだでしたら,少し厳しいですね。詳しいことは,数学で扱うと思いますが,とりあえず必要なことだけ紹介しましょう。 ![]() |
(3) pH potential hydrogen 水素イオン指数 中性のとき [H+]=1.0×10−7 〔mol/l 〕 小数 → 指数 → 対数 → −対数 0.00000010 1.0×10−7 −7 7 pH=log101/[H+]=−log10[H+] [H+]=1.0×10−7〔mol/l 〕のとき pH=−log10[H+] =−log101.0×10−7 =−(log101.0+log1010−7) =−(log101.0−7log1010) =−(0−7) =7 [H+]=1.0×10−x〔mol/l 〕のとき pH=−log10[H+] =−log101.0×10−x =−(log101.0−x7log1010) =x [OH−]=1.0×10−1〔mol/l 〕のとき [H+]=1.0×10−14/[OH−] =1.0×10−14/(1.0×10−1) =1.0×10−13 pH=13 |
0.10mol/l の塩酸の電離度α=1とすると,[H+]=0.10mol/l だから,pH=1.0×10−1=1になりますね。では,この塩酸を,水で10倍の体積になるようにうすめると,pHはいくらになるでしょうか。単純に考えて,体積が10倍で物質量は変わらないからモル濃度は1/10のはずです。このときの電離度α=1とすると,[H+]=0.010mol/l だから,pH=−log101.0×10−2=2になりますね。![]() では,水で10倍に薄めるという操作をくり返していくと,そのときのpHは,3,4,5,6,7,8,と変化していくのでしょうか。ちょっとまってください。pH8とは塩基性です。塩酸をどんどん薄めていくと,水溶液は塩基性になるなんて,聞いたことありませんね。どのように考えたらよいのでしょうか。 いま,塩酸の濃度を1.0×10−8mol/l としましょう。この塩酸の電離度α=1とすると,塩酸の電離による[H+]=1.0×10−8mol/l です。ところで,溶媒の水も電離していましたね。この水の電離による[H+]=[OH−]=x mol/l とします。すると,塩酸の電離によるイオンと水の電離によるイオンをあわせると,[H+]=1.0×10−8+x 〔 mol/l 〕であり,[OH−]=x 〔 mol/l 〕です。したがって,Kw =[H+][OH−]=(1.0×10−8+x)×x =1.0×10−14になるのです。 2次方程式になってしまいましたが,x =0.95×10−7となり,[H+]=1.0×10−8+0.95×10−7≒1.1×10−7になります。決して,pHが7を超えることはありません。 ![]() それでは,今日の学習内容の確認です。 1.25℃のとき,水のイオン積はいくらですか?→1.0×10−14〔(mol/l )2〕 2.[H+]=10−x〔mol/l 〕のとき,pHはいくらですか?→x 3.pHが1だけ小さくなると,[H+]はどれだけ大きくなりますか?→10倍 |