2004年12月15日(水),17日(金) 04ko1-21 T実験11 溶液のpHの測定

 今日は,pH(ピーエイチ)について調べましょう。pHという記号は,今までに見たことがあるでしょうね。これは,水溶液中の水素イオンの濃度を表すものです。pH7が中性で,それより小さければ酸性,大きければ塩基性です。
 蒸留水には空気中の二酸化炭素が溶けているので,pHは6ぐらいです。水道水はpHが7に調整されています。pHメーターを使って,水道水のpHを測定して下さい。7になるはずです。
    
 次に3種類の溶液を使って,それぞれ3種類の濃度を調整して下さい。溶液は,1.0mol/ の塩酸,1.0mol/ の酢酸,1.0mol/の水酸化ナトリウム水溶液です。
 準備ができたら,それぞれの水溶液のpHを測定しましょう。

実験11 溶液のpHの測定

  1.水道水のpHを測定する。(水道水は中性に調整されている。)
  2.3個のビーカーに,それぞれ水道水を45m とる。
  3.1.0mol/ の塩酸HCl5.0m を,45m の水道水に加える。このとき,駒込ピペット内に残った塩酸をすべてビーカーに加えるため,駒込ピペットで水溶液を4〜5回吸引,排出する。    
  4.3の溶液5.0m を,45m の水道水に加え,3と同様の操作を行う。    
  5.4の溶液5.0m を,45ml の水道水に加え,4と同様の操作を行う。    
  6.各溶液のpHを,濃度の小さい順に測定する。
  7.塩酸と同様にして,1.0mol/ の酢酸CHCOOH水溶液を,10分の1,100分の1,1000分の1にうすめ,   そのpHを測定する。
  8.塩酸と同様にして,1.0mol/ の水酸化ナトリウムNaOH水溶液を,10分の1,100分の1,1000分の1に   うすめ,そのpHを測定する。
塩酸の結果
濃度 0.0010mol/ 0.010mol/ 0.10mol/
pHの値



酢酸の結果
濃度 0.0010mol/ 0.010mol/ 0.10mol/
pHの値


水酸化ナトリウム水溶液の結果
濃度 0.0010mol/ 0.010mol/ 0.10mol/
pHの値


水酸化物イオン濃度 1.0×10−3mol/ 1.0×10−2mol/ 1.0×10−1mol/
水素イオン濃度 1.0×10−11mol/ 1.0×10−12mol/ 1.0×10−13mol/

の濃度=溶質の物質量〔mol〕/溶液の体積〔 〕=1.0×5.0/1000×1000/50=0.10〔mol/ 〕ですね。4の濃度=0.10×5.0/1000×1000/50=0.010〔mol/ 〕ですね。5の濃度=0.010×5.0/1000×1000/50=0.0010〔mol/ 〕ですね。
 

実験結果の確認をしましょう。
塩酸の結果例
濃度 0.0010mol/ 0.010mol/ 0.10mol/
pHの値
 Hメーターにも多少の誤差がありますが,塩酸のpHの値は,下の表では左から順に3,2,1に近い値になると思います。参考までに,それぞれの水溶液の水素イオン濃度を示しています。ただし,これは電離度α=1として計算しています。

酢酸の結果例
濃度 0.0010mol/ 0.010mol/ 0.10mol/
pHの値 3.4
 酢酸の電離度αは1より小さい値でしたね。0.1mol/ では電離度が0.016,0.01mol/ では電離度が0.051,0.001mol/ では電離度が0.15です(いずれも25℃の値)。ですから,同じ濃度であっても,塩酸より水素イオン濃度が小さく,その結果pHが大きくなるのです。

水酸化ナトリウム水溶液の結果例
濃度 0.0010mol/ 0.010mol/ 0.10mol/
pHの値 11 12 13
水酸化物イオン濃度 1.0×10−3mol/ 1.0×10−2mol/ 1.0×10−1mol/
水素イオン濃度 1.0×10−11mol/ 1.0×10−12mol/ 1.0×10−13mol/
 水酸化ナトリウム水溶液のpHの値は,下の表では左から順に11,12,13に近い値になると,思います。参考までに,それぞれの水溶液の水酸化物イオン濃度を示しています。これも,電離度α=1として計算しています。また,水のイオン積より,水素イオン濃度も計算できます。
 塩酸と水酸化ナトリウム水溶液のpHと水素イオン濃度の間に,どのような関係があるかわかりますか。そう水素イオン濃度の指数の−をとった値がpHであることがわかります。
 時間があれば,次の実験に進みましょう。

 9.身近な溶液のpHをpH試験紙で測定し,その液性を酸性,中性,塩基性に分類する。
溶液の種類 食酢 炭酸飲料 みかんの汁 せっけん水 住居用洗剤 食器用洗剤
pHの値





溶液の液性





 実験結果を確認しましょう
溶液の種類 食酢 炭酸飲料 みかんの汁 せっけん水 住居用洗剤 食器用洗剤
pHの値 4〜5 3〜4 10 9〜10
溶液の液性 酸性 酸性 酸性 塩基性 塩基性 中性
    

 それでは,考察です。

1.塩酸の濃度から[H]を求め,さらにpHを計算すると,
濃度 0.0010mol/ 0.010mol/ 0.10mol/
水素イオン濃度 1.0×10−3mol/ 1.0×10−2mol/ 1.0×10−1mol/
pHの値

2.水酸化ナトリウム水溶液の濃度から[OH]を求め,さらに[H]とpHを計算すると,
濃度 0.0010mol/ 0.010mol/ 0.10mol/
水酸化物イオン濃度 1.0×10−3mol/ 1.0×10−2mol/ 1.0×10−1mol/
水素イオン濃度 1.0×10−11mol/ 1.0×10−12mol/ 1.0×10−13mol/
pHの値 11 12 13


 水酸化ナトリウム水溶液のpHの計算方法について,詳しく説明しましょう。
 水酸化ナトリウム水溶液は,次のように完全に電離していると考えると,
 NaOH → Na + OH
 水酸化物イオン濃度[OH]は水酸化ナトリウム水溶液の濃度[NaOH]に等しい。
 すなわち,[OH]=[NaOH]
 水のイオン積[H][OH]=w=1.0×10−14より,
 [H]=1.0×10−14/[OH] として求めることができる。
 pH=−log10[H
 したがって,[NaOH]=1×10−1のとき,[OH]=1×10−1,[H]=1×10−13
 pH=−log10(1×10−13)=−log101+13log1010=13
 今日の実験のポイントは,次の通りです。
1.1価の強酸は,完全に電離していると考えると,酸の濃度と水素イオン濃度[H]は等しくなります。
2.1価の強塩基は,完全に電離していると考えると,塩基の濃度と水酸化物イオン濃度[OH]は等しくなります。
3.水のイオン積[H][OH]=wを使うと,水酸化物イオン濃度[OH]から水素イオン濃度[H]を求めることができます。