酸の水溶液に塩基の水溶液を加えると,中和が起こって溶液のpHが変化しますね。では,一定量の塩基の溶液を加えていくと,pHは,どのように変化するのでしょうか。例えば,加えた塩基の水溶液に体積に比例して,溶液のpHが変化するのでしょうか。 ![]() 今日の勉強は, (1)滴定曲線 (2)滴定曲線の作成 (3)中和点の液性 です。途中でpHの計算が出てきますが,がんばってください。 ![]() |
17 中和滴定 (1) 滴定曲線 中和滴定において,加えた酸または塩基の体積と,それにともなう混合溶液のpHの変化を示した図 中和点付近でpHが大きく変化する→H+とOH−の濃度差が小さい→滴下した酸や塩基の水溶液1滴の影響が大きい |
中和滴定では,指示薬の色の変化によって中和点を知ることができました。では,滴定において,溶液のpHはどのように変化しているのでしょうか。もちろん,pHメーターによって調べることはできますが,今日は計算によってpHの変化を考えることにします。常用対数の表を紹介します。
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(2) 滴定曲線の作成 0.10mol/l の塩酸20ml に0.10mol/l の水酸化ナトリウム水溶液をx ml 加えたときのpHを考える x <20ml のとき [H+]>[OH−] [H+]=0.10×(20−x )/1000×1000/(20+x )=0.10(20−x )/(20+x ) 〔mol/l 〕 pH=−log10[H+]=−log100.10(20−x )/(20+x ) x >20ml のとき[H+]<[OH−] [OH−]=0.10×(x −20)/1000×1000/(20+x )=0.10(x −20)/(20+x ) 〔mol/l 〕 [H+]=Kw/[OH−]=(1.0×10−14)/0.10(x −20)/(20+x ) pH=−log10[H+]=−log10(1.0×10−14)/0.10(x −20)/(20+x ) x =0〜42を代入して,pHを求める 横軸に水酸化ナトリウム水溶液の体積,縦軸にpHをとってグラフ化する |
グラフを表示してみます。なお,このグラフはExcelを使っています水酸化ナトリウム水溶液の体積が20ml 付近でグラフが切れてしまいましたね。どうしてでしょう。x の値が19.0のときpHは2.6ですが,20.0のときはpHは7になります。また,x が21.0のときは,pHは11.4まで増えます。つまり,x が19.0から21.0間での間で,pHが急激に変化しているのです。ですから,この間の間隔を小さくして,計算すればよいのかもしれません。この間を,0.1間隔で計算してみましょう。 グラフを表示してみます。 まだ,切れていますね。x が19.9のとき,pHは3.6です。また,x が20.1のとき,pHは9.4です。そこで,x が19.9から20.1までの間を,0.01間隔で計算してみましょう。 グラフを表示してみます。 もう一息ですね。 今度は,x が19.99から20.01の間を,0.001間隔で計算してみます。 グラフを表示してみます。 ほとんどつながりましたね。pH7付近を0.001ml 間隔まで狭くして計算した結果です。 最後は,pH7付近を0.0001ml 間隔まで狭くして計算した結果です。 このように,中和点付近では,pHは急激に変化するのです。このような,加えた酸や塩基の体積と,混合溶液のpHの関係を示した図を,中和滴定曲線といいます。右のグラフは,塩酸と水酸化ナトリウムの中和滴定曲線です。強酸と強塩基のグラフは,おおむねこのようなかたちになります。しかし,弱酸と強塩基,強酸と弱塩基,弱酸と弱塩基では,かたちが違います。それらの区別ができるようになって下さい。 |
(3) 中和点の液性 強酸・強塩基型→中和点=pH7 弱酸・強塩基型→中和点>pH7 強酸・弱塩基型→中和点<pH7 |
今日は,ややこしい計算があって大変だでしょう。これにこりずに,化学の勉強を続けましょう。![]() 今日の学習のポイントを整理しましょう。 1.中和滴定で,加えた酸や塩基の体積と,混合溶液のpHの関係を示した図を何といいますか?→滴定曲線 2.弱酸と強塩基で中和滴定するとき,指示薬はフェノールフタレインとメチルオレンジのどちらを使えばよいですか。→フェノールフタレイン 3.強酸と弱塩基で中和滴定するとき,中和点は何性になりますか?→酸性 |