2005年2月2日(水) 04ko1-26 塩の性質

 塩とは,一般に,酸の水素イオンが他の陽イオンで置き換わった化合物,または,塩基の水酸化物イオンが他の陰イオンで置き換わった化合物のことです。
 今日の勉強の具体的な内容は,
(1)塩の分類
(2)塩の加水分解
(3)塩と酸・塩基の反応
です。
 まず,最初に塩の分類について説明しましょう。塩には,正塩,酸性塩,塩基正塩があります。これらは,組成上の分類であり,水溶液の液性に関係ないことに気をつけて下さい。
 また,陽イオンや陰イオンが2種類以上ある塩を複塩といいます。ミョウバンは硫酸カリウムアルミニウム十二水和物AlK(SO)・12HOですが,硫酸カリウムアルミニウムAlK(SO)は複塩です。
   

18 塩の性質

(1) 塩の分類
   <正塩>
    酸と塩基が完全に中和した塩
    炭酸ナトリウムNaCO → 水溶液は塩基性
    亜硫酸ナトリウムNaSO → 水溶液は塩基性
    硫酸アルミニウムAl(SO) → 水溶液は酸性
    塩化アンモニウムNHCl → 水溶液は酸性

   <酸性塩>
    酸のH原子が残った塩
    炭酸水素ナトリウムNaHCO → 水溶液は塩基性
    硫酸水素ナトリウムNaHSO → 水溶液は酸性

   <塩基性塩>
    塩基のOHが残った塩
    塩化水酸化マグネシウムMgCl(OH) → 水溶液は酸性
    この分類は組成上のものであって,塩の水溶液の液性とは無関係
 
 次に,塩の加水分解について考えてみましょう。弱酸と強塩基から生じた塩や,強酸と弱塩基から生じた塩が,水と反応してもとの弱酸や弱塩基を生じ,水溶液が弱い塩基性や酸性を示すことを,塩の加水分解といいます。どうして,このようなことが起こるのでしょうか。
     
 酢酸ナトリウムCHCOONaは酢酸(弱酸)と水酸化ナトリウム(強塩基)からできた塩ですね。この酢酸ナトリウムの水溶液は酸性を示します。酢酸ナトリウムは塩ですから,水溶液中ではほぼ100%電離して,ナトリウムイオンと酢酸イオンに分かれ,それぞれが水和イオンになっていると考えるとよいでしょう。また,溶媒である水は,ごくわずか電離していることも知っていますね。そこで,水溶液中には,合計4種類のイオンが存在していることになります。
 酢酸イオンと水素イオンは結びつくと酢酸分子です。この酢酸分子は,もちろん電離して水素イオンと酢酸イオンに別れます。そこで,これが重要なんですが,酢酸分子,水素イオン,酢酸イオンの3種類の量関係はどのようになっていたのでしょうか。

0.10mol/ の酢酸水溶液の電離度αは0.016でしたね。
      CHCOOH  ⇔  H   +   CHCOO
電離前 0.10mol/     0mol/       0mol/
電離後 0.0984mol/  0.0016mol/  0.0016mol/

 これでわかるように,大部分が酢酸分子なのです。ということは,水溶液中の水素イオンと酢酸イオンが減少することを意味しています。          
 一方,ナトリウムイオンと水酸化物イオンが結びつくと水酸化ナトリウムです。これは強塩基ですから,電離度αはほぼ1でしたね。すなわち,水溶液中のナトリウムイオンと水酸化物イオンの濃度は変化しないということです。
 そこで,水素イオンの数が減少して,水酸化物イオンの数が変わらない。すなわち,[H]<[OH]の関係があり,水溶液は塩基性を示すことになるのです。
 塩化アンモニウムも同様に説明することができます。
          

(2) 塩の加水分解
   <酢酸ナトリウムCHCOONa>
    CHCOONa → Na + CHCOO
    HO ⇔ H + OH
    CHCOO + H ⇔ CHCOOH
    CHCOO + HO ⇔ CHCOOH + OH
                              [H]<[OH
   <塩化アンモニウムNHCl>
    NHCl → NH + Cl
    HO ⇔ H + OH
    NH + OH ⇔ NH + H
    NH + HO ⇔ NH + H
                       [H]>[OH
 塩の加水分解では,酢酸イオンに対して水分子は水素イオンを与えるはたらき,すなわちproton donnerでした。酸としてはたらいていますね。また,アンモニウムイオンに対して水分子は水素イオンを受け取るはたらき,すなわちproton accepterでした。塩基としてはたらいていますね。  
 では,もっと強烈な酸であるオキソニウムイオンHや強烈な塩基である水酸化物イオンOHを加えると,どうなるでしょうか。
 酢酸ナトリウムに硫酸を加えると,酢酸が遊離します。また,塩化アンモニウムに水酸化ナトリウム水溶液を加えると,アンモニアが発生しますね。

・弱酸の塩に強酸を加えると,強酸の塩ができて,弱酸が遊離する。
・弱塩基の塩に強塩基を加えると,強塩基の塩ができて弱塩基が遊離する。


   

(3) 塩と酸・塩基の反応
  <弱酸の塩>
   CHCOONa → Na + CHCOO
   HSO → 2H + SO2−
   H + CHCOO ⇔ CHCOOH
   2CHCOONa + HSO → NaSO     + 2CHCOOH
   弱酸・強塩基の塩  強酸      強酸・強塩基の塩  弱酸

  <弱塩基の塩>
   NHCl → NH + Cl
   NaOH → Na + OH
   NH + OH ⇔ NH + H
   NHCl     + NaOH → NaCl        + NH + H
   強酸・弱塩基の塩 強塩基   強酸・強塩基の塩   弱塩基

  <揮発性の酸の塩>
   NaCl     + HSO   → NaHSO    + HCl
   揮発性の酸の塩 不揮発性の酸 不揮発性の酸の塩 揮発性の酸
 ハロゲンのところでもう一度勉強しますが,塩化水素HClのつくり方は,塩化ナトリウムに濃硫酸を加えて穏やかに加熱します。塩化ナトリウムは,いうまでもなく塩酸と水酸化ナトリウムからできた塩ですね。塩酸は揮発性の酸です。硫酸は不揮発性の酸です。したがって,揮発性の酸の塩に不揮発性の酸を加えると,不揮発性の酸の塩ができ,揮発性の酸が遊離することになります。今日の勉強は,有機化学の有機酸やアミンのところでも重要です。しっかりと理解しておいて下さい。
  
 それでは,今日の学習内容の確認です。
1.酢酸ナトリウムCHCOONa水溶液の液性は何ですか?→弱塩基性
2.塩化アンモニウムNHCl水溶液の液性は何ですか?→弱酸性
3.塩が水に溶けたとき,電離して生じた弱酸または弱塩基のイオンが水と反応し,塩基性または酸性を示すことを,塩の何といいますか?→加水分解
4.弱酸と強塩基からできた塩の水溶液は何性を示しますか?→塩基性
5.弱塩基と強酸からできた塩の水溶液は何性を示しますか?→酸性
6.強酸と強塩基からできた正塩の水溶液は何性を示しますか?→中性
7.強酸と強塩基からできた酸性塩は何性を示しますか?→酸性