今日から熱について勉強しましょう。皆さんは,使い捨てカイロ(携帯用カイロ)をよく使うと思いますが,あれは化学変化を利用したものであることは知っているでしょう。では,どのような反応なのでしょうか。Fe + 3/4O2 + 3/2H2O = Fe(OH)3 + 403kJ 実は少し複雑な反応で,単に鉄が酸化鉄になるのとは違うのですね。このとき,鉄1molから403kJ(キロジュール)の熱が出ます。403kJの熱はイメージできますか? 今日の勉強の具体的な内容は, (1) 熱と熱量 (2) 反応熱 (3) 熱化学方程式 (4) いろいろな反応熱 です。 発熱反応は,温度が高くなる反応です。先ほどの携帯用カイロは,発熱反応を利用したものです。それに対して,冷却パックのように温度が下がる反応を吸熱反応といいます。熱を吸えば温度が高くなると考える人はいませんか。熱エネルギーを吸収して,それを違う形のエネルギーにするのです。ですから,周りの熱エネルギーを奪われたものは,熱運動が低下して温度が下がるわけです。 ![]() |
1 反応熱と熱化学方程式 (1)熱と熱量 熱運動…物質を構成する粒子の不規則な運動 温度が高くなる→熱運動は激しくなる 高温の物体から低温の物体に移動する熱運動のエネルギー→熱 熱の量→熱量 Q=mcΔT Q〔J〕:熱量,m〔g〕:質量,c〔J/(gK)〕比熱,ΔT〔K〕:温度差 |
水の比熱は4.2J/(gK)です。したがって,1gの水の温度を1K(ケルビン)上昇させるのに必要な熱量は,Q=1×4.2×1=4.2〔J〕となりますね。4.2Jは1calと等しい熱量です。1Jは約0.24calです。ですから,先ほどの403kJは96720calですね。約10万calですから,10kgの水の温度を10K上げることができる熱です。次は,反応熱です。 |
(2)反応熱 化学反応をともなって放出されたり吸収されたりする熱 熱を発生する化学反応 → 発熱反応 (例) 2H2 + O2 → 2H2O 熱を吸収する化学反応 → 吸熱反応 (例) C(黒鉛) + H2O → CO + H2 |
化学変化や状態変化にともなう熱の出入りは,熱化学方程式で表現します。このとき注意することは,→ではなく,=を使うことです。よく間違えますから,注意して下さい。熱化学法的式では,左辺と右辺のエネルギーの和が等しいことを意味します。下の2つの例を参考にして下さい。 |
(3)熱化学方程式 化学反応式の右辺に反応熱をかき加え,左辺と右辺を等号(=)で結んだもの 反応熱の符号 … 発熱反応は+,吸熱反応は− |
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<例1> 2H2 + O2 → 2H2O E1は気体の水素1molと気体の酸素1/2molのもっているエネルギーだから E1=H2(気)+1/2O2(気)…(1) E2は液体の水1molがもっているエネルギーだから E2=H2O(液)…(2) E1−E2=286〔kJ〕 式を変形すると E1=E2+286kJ…(3) (3)式に(1),(2)式を代入すると H2(気)+1/2O2(気)=H2O(液)+286kJ |
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<例2> C(黒鉛) + H2O → CO + H2 E1は黒鉛1molと気体の水1molのもっているエネルギーだから E1=C(黒鉛)+H2O(気)…(1) E2は気体の一酸化炭素1molと気体の水素1molがもっているエネルギーだから E2=CO(気)+H2(気)…(2) E2−E1=131〔kJ〕 式を変形すると E1=E2−131kJ…(3) (3)式に(1),(2)式を代入すると C(黒鉛)+H2O(気)=CO(気)+H2(気)−131kJ |
反応熱には,特別の名前で呼ばれているものがあります。それらの意味をしっかりと把握して下さい。中心になるものが1molになるよう定義されています。生成熱については,後ほど扱うことにします。 |
(4)いろいろな反応熱 <燃焼熱> 物質1molが完全燃焼するときに発生する熱 C3H8(気) + 5O2(気) = 3CO2(気) + 4H2O(液) + 2219kJ <溶解熱> 溶質1molを多量の溶媒に溶かしたときに出入りする熱 NaOH(固) + aq = NaOHaq + 45kJ <中和熱> 酸と塩基の反応で,1molの水が生成するときに発生する熱 HClaq + NaOHaq = NaClaq + H2O(液) + 56.5kJ |
aqは多量の水を表します。では,今日の勉強の確認です。 1.質量m〔g〕,比熱c〔J/(gK)〕温度差ΔT〔K〕とすると,熱量Qはどのような式で示すことができますか?→ Q=mcΔT 2.熱を発生する化学変化を何といいますか?→発熱反応 3.熱を吸収する化学変化を何といいますか?→吸熱反応 4.気体の水素1molと気体の酸素0.5molから液体の水ができる反応は,286kJの発熱反応です。この反応を熱化学方程式で示しなさい。→ H2(気)+1/2O2(気)=H2O(液)+286kJ 5.燃焼熱,中和熱,溶解熱をそれぞれ説明しなさい。→燃焼熱:物質1molが完全燃焼するときに発生する熱,中和熱:酸と塩基の反応で,1molの水が生成するときに発生する熱,溶解熱:溶質1molを多量の溶媒に溶かしたときに出入りする熱 次回は,熱の学習で最も大切なヘスの法則について勉強しましょう。 |