2004年4月15日(木)04ko2-01 反応熱と熱化学方程式
 今日から熱について勉強しましょう。皆さんは,使い捨てカイロ(携帯用カイロ)をよく使うと思いますが,あれは化学変化を利用したものであることは知っているでしょう。では,どのような反応なのでしょうか。
 Fe + 3/4O + 3/2HO = Fe(OH) + 403kJ
実は少し複雑な反応で,単に鉄が酸化鉄になるのとは違うのですね。このとき,鉄1molから403kJ(キロジュール)の熱が出ます。403kJの熱はイメージできますか?

 今日の勉強の具体的な内容は,
(1) 熱と熱量
(2) 反応熱
(3) 熱化学方程式
(4) いろいろな反応熱
です。
 
発熱反応は,温度が高くなる反応です。先ほどの携帯用カイロは,発熱反応を利用したものです。それに対して,冷却パックのように温度が下がる反応を吸熱反応といいます。熱を吸えば温度が高くなると考える人はいませんか。熱エネルギーを吸収して,それを違う形のエネルギーにするのです。ですから,周りの熱エネルギーを奪われたものは,熱運動が低下して温度が下がるわけです。
                              

1 反応熱と熱化学方程式
(1)熱と熱量

 熱運動…物質を構成する粒子の不規則な運動
 温度が高くなる→熱運動は激しくなる
 高温の物体から低温の物体に移動する熱運動のエネルギー→熱
 熱の量→熱量
 mc
ΔT

 〔J〕:熱量,〔g〕:質量,〔J/(gK)〕比熱,ΔT〔K〕:温度差
 水の比熱は4.2J/(gK)です。したがって,1gの水の温度を1K(ケルビン)上昇させるのに必要な熱量は,=1×4.2×1=4.2〔J〕となりますね。4.2Jは1calと等しい熱量です。1Jは約0.24calです。ですから,先ほどの403kJは96720calですね。約10万calですから,10kgの水の温度を10K上げることができる熱です。
 次は,反応熱です。

(2)反応熱

   化学反応をともなって放出されたり吸収されたりする熱
   熱を発生する化学反応 → 発熱反応
                    (例) 2H + O → 2H
   熱を吸収する化学反応 → 吸熱反応
                    (例) C(黒鉛) + HO → CO + H

 化学変化や状態変化にともなう熱の出入りは,熱化学方程式で表現します。このとき注意することは,ではなく,を使うことです。よく間違えますから,注意して下さい。熱化学法的式では,左辺と右辺のエネルギーの和が等しいことを意味します。下の2つの例を参考にして下さい。

(3)熱化学方程式

  化学反応式の右辺に反応熱をかき加え,左辺と右辺を等号(=)で結んだもの
  反応熱の符号 … 発熱反応は+,吸熱反応は−


<例1>
2H + O → 2H
は気体の水素1molと気体の酸素1/2molのもっているエネルギーだから
=H(気)+1/2O(気)…(1)
は液体の水1molがもっているエネルギーだから
=HO(液)…(2)
=286〔kJ〕
式を変形すると
+286kJ…(3)
(3)式に(1),(2)式を代入すると
(気)+1/2O(気)=HO(液)+286kJ
   

<例2>
C(黒鉛) + HO → CO + H
は黒鉛1molと気体の水1molのもっているエネルギーだから
=C(黒鉛)+HO(気)…(1)
気体の一酸化炭素1molと気体の水素1molがもっているエネルギーだから
=CO(気)+H(気)…(2)
=131〔kJ〕
式を変形すると
−131kJ…(3)

(3)式に(1),(2)式を代入すると
C(黒鉛)+HO(気)CO(気)+H(気)−131kJ 
 反応熱には,特別の名前で呼ばれているものがあります。それらの意味をしっかりと把握して下さい。中心になるものが1molになるよう定義されています。生成熱については,後ほど扱うことにします。

(4)いろいろな反応熱

  <燃焼熱>
   物質1molが完全燃焼するときに発生する熱
   C(気) + 5O(気) = 3CO(気) + 4HO(液) + 2219kJ
  <溶解熱>
   溶質1molを多量の溶媒に溶かしたときに出入りする熱
   NaOH(固) + aq = NaOHaq + 45kJ
  <中和熱>
   酸と塩基の反応で,1molの水が生成するときに発生する熱
   HClaq + NaOHaq = NaClaq + HO(液) + 56.5kJ  
 
 aqは多量の水を表します。
 では,今日の勉強の確認です。
1.質量〔g〕,比熱〔J/(gK)〕温度差ΔT〔K〕とすると,熱量はどのような式で示すことができますか?→
Q=mcΔT
2.熱を発生する化学変化を何といいますか?→
発熱反応
3.熱を吸収する化学変化を何といいますか?→
吸熱反応
4.気体の水素1molと気体の酸素0.5molから液体の水ができる反応は,286kJの発熱反応です。この反応を熱化学方程式で示しなさい。→ (気)+1/2O(気)=HO(液)+286kJ
5.燃焼熱,中和熱,溶解熱をそれぞれ説明しなさい。→燃焼熱:
物質1molが完全燃焼するときに発生する熱,中和熱:酸と塩基の反応で,1molの水が生成するときに発生する熱,溶解熱:溶質1molを多量の溶媒に溶かしたときに出入りする熱
 次回は,熱の学習で最も大切なヘスの法則について勉強しましょう。