前の時間は,反応熱について勉強しましたね。反応熱は,どのようにすれば求めることができるのでしょうか。Q=4.2×100×ΔT〔J〕です。 この反応熱を,塩酸1molあたりに換算すると, Q=4.2×100×ΔT×1000/50〔J/mol〕 =8.4ΔT〔kJ/mol〕になります。このようにして,反応熱を求めることができるのです。 では,実際に温度を測定してみましょう。 しかし,なかなか実験で直接測定できない場合があります。そのようなときは,何かうまい方法はないでしょうか。 今日の勉強は, ヘスの法則 です。 |
2 ヘスの法則 1840年 ヘス(スイス) 反応熱は,反応の経路によらず,最初の状態と最終の状態で決まる。 A:最初の状態 B:最終の状態 P:中間物 とすると A = B + Q kJ A = P + a kJ P = B + b kJ のとき Q = a + b |
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ヘスの法則を使うと,直接測定できない反応熱を知ることができます。では,具体的にヘスの法則の検証を行いましょう。次の例1は,次回行う実験9の内容です。 最初の状態Aは,固体の水酸化ナトリウムと塩酸と水です。最終の状態Bは,塩化ナトリウム水溶液と液体の水です。そして,中間物Pは,水酸化ナトリウム水溶液と塩酸です。 水酸化ナトリウムの溶解熱は44.5kJです。教科書では45kJとなっています。また,強塩基と強酸の場合は,中和熱は酸や塩基の種類に関係なく,ほぼ一定の56.5kJ/molになります。 実験9では,水酸化ナトリウムの溶解熱と,強酸と強塩基の中和熱も測定します。 そして,最初の状態Aから最終の状態Bに変化するときの反応熱を測定します。もし,101kJになれば,ヘスの法則は成立するわけです。 |
<例1> 固体の水酸化ナトリウムと塩酸の反応では, NaOH(固)+HClaq+aq = NaClaq +H2O(液)+QkJ 水酸化ナトリウムの溶解熱は44.5kJだから, NaOH(固)+aq=NaOHaq+44.5kJ 強酸と強塩基の中和熱は56.5kJだから, NaOHaq+HClaq=NaClqa+H2O(液)+56.5KJ Q=44.5+56.5=101.0〔kJ〕 |
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次は,酸化カルシウムを使って,ヘスの法則を検証してみましょう。酸化カルシウムは水と反応すると,水酸化カリウムになります。水酸化カルシウムは,もちろん酸と反応します。また,酸化ナトリウムの水溶液は塩基性を示し,酸と反応します。(このような酸化物を塩基性酸化物といいます。) 固体の酸化カルシウムと水の反応熱は65kJです。水酸化カルシウムと塩酸の反応熱は,中和熱の2倍の113kJより少し大きく129kJです。固体の酸化カルシウムと塩酸の反応が194kJであれば,ヘスの法則は成立することになります。実測値は194kJのようです。 |
<例2> 固体の酸化カルシウムと塩酸の反応では, CaO(固)+2HClaq=CaCl2aq+H2O+Q kJ 固体の酸化カルシウムと水の反応熱は65kJだから CaO(固)+H2O=Ca(OH)2(固)+65kJ 水酸化カルシウムと塩酸の反応熱は129kJだから Ca(OH)2(固)+2HClaq=CaCl2aq+2H2O+129kJ Q=65+129=194〔kJ〕 |
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今日は,ヘスの法則について勉強しました。では,今日の勉強の確認です。 1.ヘスの法則について説明しなさい。→物質が変化するとき出入りする熱量は,変化する前の状態と変化した後の状態だけで決まり,変化の過程には無関係である。 2.25℃,1atmのもとでの次の2つの熱化学方程式を用いて,同じ条件のもとで,水素と酸素から液体の水1molが生成する反応の反応熱を求めなさい。 H2(気)+1/2O2(気)=H2O(気)+242kJ H2O(気)=H2O(液)+44kJ →左辺どうし,右辺どうしを加えると,H2(気)+1/2O2(気)+H2O(気)=H2O(気)+242kJ+H2O(液)+44kJ,H2(気)+1/2O2(気)=H2O(液)+286kJ 3.炭素,水素,およびメタン1molあたりの燃焼熱は,それぞれ394kJ,286kJ,891kJである。このことから,次の反応の反応熱を求めなさい。 C(固体)+2H2(気)→CH4(気) →C(固体)+O2(気)=CO2(気)+394kJ…(1) H2(気)+1/2O2(気)=H2O(液)+286kJ…(2) CH4(気)+2O2(気)=CO2(気)+2H2O(液)+891kJ…(3) (1)+(2)×2−(3)より,反応熱=394+286×2−891=75〔kJ〕 次回は,このヘスの法則を実験で確かめてみたいと思います。 |