2004年5月6日(木)04ko2-04 生成熱と結合エネルギー
 今日は,生成熱や結合エネルギーについて学びましょう。
 今日の勉強の具体的な内容は,
(1)生成熱
(2)結合エネルギー
です。
 生成熱とは,物質1molがその成分元素の単体から生成するときの反応熱のことです。単体の生成熱は0kJ/molとすることに注意してください。反応熱は,その反応に関係する物質の生成熱から,ヘスの法則に基づいて計算することができます。
 結合エネルギーは,共有結合を切るために必要なエネルギーです。この結合エネルギーを使っても,反応熱を求めることができます。

                  

4 生成熱と結合エネルギー

(1)生成熱
 物質1molがその成分元素の単体から生成するときの反応熱
 生成物の生成熱を kJ

 反応物の生成熱を kJ 
とすると,
 
反応物から生成物の変化するときの反応熱は
  〔kJ〕になる
 すなわち,
 
反応熱=生成物の生成熱の和−反応物の生成熱の和

<例1>黒鉛と水蒸気の反応
 C(黒鉛) + HO(気) = CO(気) + H(気) + kJ
1.反応物の生成熱
 単体の生成熱は,その定義から0である。したがって,黒鉛は単体だから,水の生成熱だけを考える。
 水(気体)の生成熱は242kJだから熱化学方程式は,
 H(気) + 1/2O(気) = HO(気) + 242kJ

2.生成物の生成熱
 水素は単体だから,一酸化炭素の生成熱だけを考える。
 一酸化炭素の生成熱は111kJだから熱化学方程式は,
 C(固) + 1/2O(気) = CO(気) + 111kJ
3.生成熱から反応熱を求める
 反応熱=生成物の生成熱の和−反応物の生成熱の和だから,

  =111−242
   =−131〔kJ〕
 分子内の共有結合を切るのに要するエネルギーをその結合の結合エネルギーといいます。単位はkJ/molです。多くの結合の結合エネルギーが求められていますが,異なる化合物から求めた結合エネルギーの値は,必ずしも一致しません。例えば,C=Oの結合エネルギーは,ケトン類(詳しくは有機化学で)と二酸化炭素では異なります。注意して下さい。結合エネルギーからも,ヘスの法則に基づいて生成熱を計算で求めることができます。

(2)結合エネルギー
 共有結合を切るとき必要なエネルギー
 結合1molあたりの値で示す
 生成物の結合エネルギーを kJ
 反応物の結合エネルギーを kJ
 とすると,
 反応物から生成物の変化するときの反応熱は
  〔kJ〕になる

 すなわち,
 反応熱=生成物の結合エネルギーの和−反応物の結合エネルギーの和 
<例2>メタンの燃焼
 CH(気)+2O(気)=CO(気)+2HO(気)+ kJ
1.反応物の結合エネルギー
 C-H(CH)の結合エネルギーは416kJであり,C-H結合は4個あるから,熱化学法的式は
 CH = C + 4H − 4×416kJ

 O=Oの結合エネルギーは498kJであり,Oが2分子必要だから,熱化学方程式は
 2O = 4O − 2×498kJ
2.生成物の結合エネルギー
 C=O(CO)の結合エネルギーは804kJであり,C=O結合は2個あるから,熱化学方程式は
 CO = C + 2O − 2×804kJ

 O−H(HO)の結合エネルギーは463kJであり,O−H結合が2個,HOが2分子だから,熱化学法的式は
 2HO = 4H + 2O − 2×2×463kJ
3.結合エネルギーから反応熱を求める
 反応熱=生成物の結合エネルギーの和−反応物の結合エネルギーの和だから,
 Q =(
2×8042×2×4634×4162×498
    =(1608+1852)−(1664+996)
   =3460−2660
   =800〔kJ〕


 それでは,今日の勉強の確認です。
1.生成熱について説明しなさい。→
物質1molが,その成分元素の単体から生成するときの反応熱。
2.反応熱と,生成物の生成熱の和と,反応物の生成熱の和の関係はどのようになりますか?→
反応熱=生成物の生成熱の和−反応物の生成熱の和
3.次式のの値を求めなさい。C(固)+HO(気)=CO(気)+H(気)+kJ
ただし,HO(気)の生成熱を242kJ/mol,CO(気)の生成熱を111kJ/molとします。→
反応熱Q=生成物の生成熱の和−反応物の生成熱の和=(111+0)−(0+242)=−131〔kJ〕
4.結合エネルギーについて説明しなさい。→
共有結合を切るとき必要なエネルギー。
5.生成物の結合エネルギーと,反応物の結合エネルギーと,反応熱の関係はどのようになりますか?→
生成物と反応物の結合エネルギーの差が,反応熱と等しくなります。
6.次式のの値を求めなさい。H
+Cl=2HCl+
ただし,H-Hの結合エネルギーを436kJ/mol,Cl-Clの結合エネルギーを243kJ/mol,H-Clの結合エネルギーを432kJ/molとします。→1molの水素分子を2molの水素原子にするのに436kJが必要だから,H=2H−436kJ と表すことができますね。同様に,Cl=2Cl−243kJ と表すことができます。一方,2molのH原子と2molのCl原子から2molのHCl分子ができるとき,2×432kJのエネルギーを放出しますから,2H+2Cl=2HCl+2×432kJ と表すことができますね。したがって,3つの熱化学方程式をたすと,H+Cl=2HCl+185kJ となります。
7.過酸化水素の構造式はH-O-O-Hと示される。過酸化水素の生成熱を143kJ/molとし,また,H(気),O(気),O-Hの結合エネルギーをそれぞれ436kJ/mol,498kJ/mol,463kJ/molとして,過酸化水素の-O-O-結合の結合エネルギーを求めなさい。→過酸化水素の生成熱が143kJ/molだから,熱化学方程式は次の(1)式になります。
(気) + O(気) = H(気) + 143kJ …(1)
また,H
(気),O(気),O-Hの結合エネルギーは,それぞれ436kJ/mol,498kJ/mol,463kJ/molだから,熱化学方程式は(2)〜(4)のようになります。
(気) = 2H(気) − 436kJ …(2)
(気) = 2O(気) − 498kJ …(3)
O-H = O(気) + H(気) − 463kJ …(4)
(2)+(3)−(1)より,
(気) = 2H(気) + 2O(気) − 1077kJ
H-O-O-Hの全結合エネルギーのうちで,2個のO-H結合の結合エネルギーは,463×2=926〔kJ〕だから,-O-O-結合の結合エネルギーは,1077−926=151〔kJ〕です。
 ヘスの法則が理解できていないと,今日の内容は難しいですね。必要に応じて,ヘスの法則から復習して下さい。それと,計算練習を数多くこなすことが必要です。