2004年5月20日(木)04ko2-06 酸化数

 イオン結合でできた物質は,化学変化において電子の授受がわかりやすいのですが,共有結合でできた物質はわかりにくいですね。このような分子が関係している酸化還元反応を,どのように考えたらよいのでしょうか。
                        
 すべての結合を,思い切ってイオン結合と見なし,電子の動きを考える方法があります。その扱いは,共有電子対を電気陰性度の大きい原子の方に割り当て,完全なイオン結合と考えるのです。このとき,もとの原子との電子数の差を酸化数と定義します。
                        
 今日の具体的な内容は,
(1)酸化数
(2)酸化数と酸化・還元
です。
 酸化数の増減で酸化,還元の区別ができるようになります。

5 酸化数

(1) 酸化数
    物質中の原子の酸化の状態を示す
    電気陰性度の小さい元素→+の符号
    電気陰性度の大きい元素→−の符号
   <単体>
    酸化数=0 
    (例) 水素分子HにおけるHの酸化数=0
   <単原子イオン>
    酸化数=イオンの電荷
    (例) 水素イオンHにおけるHの酸化数=+1
    
注意! +の符号を忘れないように
   <電気的に中性の化合物>
    酸化数の総和=0
    (例) 水分子HOにおけるHの酸化数=+1,Oの酸化数=−2
   <多原子イオン>
    酸化数の総和=イオンの電荷
    (例) 水酸化物イオンOHにおけるHの酸化数=+1,Oの酸化数=−2

 
 酸化数を求めることは重要です。しっかりと練習しておきましょう。また,−の符号を付けるのを忘れる人はいませんが,+の符号を付けるのを忘れる人は多いです。注意して下さい。
 さて,酸化数を求めることができるようになると,酸化と還元は,酸化数の変化で判断できるのでしょうか。もう一度,銅と塩素から塩化銅(II)ができる反応,塩化銅(II)水溶液の電気分解の反応を考えてみましょう。
                                  

(2) 酸化数と酸化・還元

     Cu + Cl → CuCl
     銅原子の酸化数:0→+2(酸化された)
     塩素原子の酸化数:0→−1(還元された)
     CuCl → Cu + Cl
     銅原子の酸化数:+2→0(還元された)
     塩素原子の酸化数:−1→0(酸化された)
     物質が電子を失う→酸化数が増加→酸化された
     物質が電子を得る→酸化数が減少→還元された
           酸化数
     ―――――┼―――――→ 大
              0
             →酸化される
      還元される←

 同じ原子の間で,酸化数に変化がないか調べます。もし,酸化数が増加していれば,その原子は酸化されたということになります。また,酸化数が減少しておれば,その原子は還元されたことになります。
 では,今日の勉強の確認です。
1.次の化合物またはイオンの,下線の原子の酸化数を求めなさい。
 (1)Fe
 → +3  (2)H → +5 (3) KCr → +6 (4)  → −3
2.次の各変化で,下線の原子の酸化,還元を,酸化数の変化から答えなさい。
 (1)K
Cr → Cr3+ → Cr原子の酸化数は,+6から+3に減少=還元された
 (2)H
 → HO → O原子の酸化数は,−1から−2に減少=還元された
 (3)HCl → Cl
 → Cl原子の酸化数は,−1から0に増加=酸化された