2004年6月10日(木) 04ko2-08 T実験15−酸化還元反応

 今日は,酸化還元反応について調べます。電子を与えて相手の物質を還元するはたらきをする物質を還元剤といいます。また電子を奪って,相手の物質を酸化するはたらきをする物質を酸化剤といいます。
 今日の実験では,色の変化に注目をして下さい。例えば,過マンガン酸イオンMnO4−は赤紫色ですが,還元されてマンガン(II)イオンMn2+になると,淡赤色です。ただし,これはかなり濃いときの色で,今日のような濃度では無色に見えると思います。また,二クロム酸イオンCr2−は橙赤色ですが,還元されてクロムイオン(III)Cr3+になると,暗緑色に変化します。ということで,色の変化に注目してください。
 次に,ヨウ化物イオンIが酸化されてヨウ素分子Iになると,もちろん色の変化があります。しかし,それだけではなく,ヨウ素デンプン反応によってヨウ素分子を確認することができますね。
 また,色の変化がなくても,酸化されると気体が発生するものもあります。シュウ酸が酸化されると二酸化炭素が発生します。過酸化水素が酸化されると酸素を発生します。しかし,気体の発生は少量であり,急激なため注意しなければいけません。
                              

実験15 酸化還元反応

<銅と水素の反応>
1−1 水素の捕集
1−2 水素と酸化銅(II)の反応

<ヨウ化カリウムと塩素の反応>
2−1 KIaq + Claq
2−2 ヨウ素デンプン反応
<ヨウ化カリウムと過酸化水素の反応>
3−2 KIaq + Haq 電池

<いろいろな酸化還元反応>
4−1 KMnOaq + HSO + (COOH)aq 穏やかに加熱
4−2
 Craq + HSO + NaSOaq
<過マンガン酸カリウムと過酸化水素の量的関係>
5   KMnOaq + HSO + Haq
 それぞれの酸化剤と還元剤を混ぜる前に,酸化剤,還元剤の半反応式を確認して,結果を予想して下さい。色が変化するのか,気体が発生するのかなどです。
                          

<酸化剤>
MnO4−(赤紫色) + 8H + 5e → Mn2+(淡赤色) + 4H
Cr2−(橙赤色) + 14H + 6e → 2Cr3+(暗緑色) + 7H
Cl + 2e → 2Cl
 + 2H + 2e → 2H
<還元剤>
(COOH) → 2CO↑ + 2H + 2e
2I(無色) → I(赤褐色) + 2e
 → 2H + O↑ + 2e
SO2− + HO → SO2− + 2H + 2e
 実験結果を確認しましょう。
 1−2では,加熱後炎から遠ざけたときは,銅は空気中の酸素と反応して黒色の酸化銅(II)が生成します。また,1の試験管に入れたときは,黒色の酸化銅(II)が水素と反応して還元され,赤色の銅に戻ります。そのとき,試験管内の水素は酸化されて水になりますから,試験管の内部がくもりますね。
 2−1では,溶液の色が無色から褐色に変化します。ヨウ化物イオンがヨウ素分子に変化したからです。
 2−2では,溶液の色が褐色から青色に変化します。ヨウ素デンプン反応ですね。
 3−2では,+極が過酸化水素水,−極がヨウ化カリウム水溶液です。また,水溶液は,ヨウ化カリウム水溶液に浸した炭素棒の周囲が青色に変化します。ヨウ化物イオンがヨウ素分子に変化し,ヨウ素デンプン反応を示したからですね。
 4−1では,気泡が生じ,水溶液が赤紫色から無色に変化します。シュウ酸が還元剤としてはたらき,二酸化炭素を発生します。また,過マンガン酸イオンが2価のマンガンイオンに変化したからです。
 4−2では,水溶液が赤橙色から暗緑色に変化します。二クロム酸イオンが3価のクロムイオンに変化したからです。
 5では,水溶液の色が赤紫色から無色に変化します。過マンガン酸イオンが2価のマンガンイオンに変化したからです。滴下した過酸化水素水の体積を,ビュレットを使って正確に求めると,きちんとした量的関係が検討できますね。
 それでは,考察です。
                              

炎から遠ざけたとき 2Cu + O → 2CuO (酸化された)
試験管に入れたとき CuO + H → Cu + HO (還元された)
ヨウ素 I
 … 2I → I + 2e (酸化された)
Cl … Cl + 2e → 2Cl (還元された)
ヨウ化カリウム水溶液から過酸化水素水溶液に電子が移動した。
 … KMnO   2 … KCr 
MnO … MnO + 8H + 5e → Mn2+ + 4HO(還元された)
 … H → O + 2H + 2e (酸化された) 
KMnO水溶液:H水溶液=2:5
濃度が等しいとき,反応した水溶液の体積比は,イオン反応式の電子の係数の逆比と等しい。


 
ヨウ素デンプン反応について,もう少し詳しく説明しましょう。
 デンプン分子はらせん構造をしており,多数のヒドロキシル基-OHがらせんの外側に向き,らせんの中は疎水性になっている。このらせん構造の中にヨウ素分子Iが入り込み,Iとデンプン分子の間に分子間力による弱い結合が形成され,青〜青紫色に呈色する。熱すると,Iはらせん構造の外側に出て色が消えるが,冷やすと再び呈色する。


 今日の実験のポイントは,次の通りです。
1.銅を空気中で加熱すると,酸化されて黒色の酸化銅(II)CuOになり,水素中に入れると還元されて銅Cuに戻ります。
2.ヨウ化カリウムと塩素を反応させると,ヨウ化物イオンが酸化されてヨウ素分子になり,塩素分子が還元されて塩化物イオンに変化します。ハロゲンの単体の酸化力の強さは,フッ素>塩素>臭素>ヨウ素 の順です。
3.過酸化水素とヨウ化カリウムで電池ができます。このとき,過酸化水素が+極で,ヨウ化カリウムが−極になります。ヨウ化カリウムから過酸化水素に電子が移動するのですね。
4.過マンガン酸カリウムとシュウ酸を反応させると,過マンガン酸カリウムは酸化剤としてはたらき,シュウ酸は還元剤としてはたらきます。このとき,赤紫色の過マンガン酸イオンは淡赤色(実際には無色に見える)の2価のマンガンイオンに変化し,二酸化炭素が発生します。
5.二クロム酸カリウムに亜硫酸ナトリウムを反応させると,二クロム酸カリウムが酸化剤としてはたらき,亜硫酸ナトリウムが還元剤としてはたらきます。このとき,橙赤色の二クロム酸イオンが暗緑色の3価のクロムイオンに変化します。
6.過マンガン酸カリウムと過酸化水素を反応させると,過マンガン酸カリウムが酸化剤としてはたらき,過酸化水素が還元剤としてはたらきます。このとき,赤紫色の過マンガン酸イオンは淡赤色(実際には無色に見える)の2価のマンガンイオンに変化し,酸素が発生します。