2004年6月17日(木)04ko2-09 イオン化傾向と標準電極電位

 硫酸銅(II)水溶液に亜鉛板を入れておくと,やがて亜鉛板の表面が赤色に変化します。これは,亜鉛板の表面に銅が付着したからです。また,硝酸銀水溶液を試験管に入れ,銅線を水溶液の中につるしておくと,やがて灰白色の結晶がキラキラ光り出します。これは,銅の表面に銀が付着したからです。どうして,このようなことが起こるのでしょうか。
硝酸銀水溶液に銅線をつけると… 銅線表面が変化します。
1日たつとこのようになりました。
水溶液が青く変化していることにも注目してください。
 では,今日の勉強の具体的な内容です。
(1)イオン化傾向
(2)標準電極電位
(3)金属間の電位差
 後半は,電池の勉強になりますよ。

7 イオン化傾向と標準電極電位

(1) イオン化傾向
    硫酸銅(II)水溶液に亜鉛板を入れる→亜鉛の表面に銅が付着
    Zn + Cu2+ → Zn2+ + Cu
    硝酸銀水溶液に銅板を入れる→銅の表面に銀が付着
    Cu + 2Ag → Cu2+ + 2Ag
    イオン化傾向…金属の単体が水溶液中で陽イオンになる性質の強さ
    イオン化列…イオン化傾向の大きなものから順に並べたもの
    Zn>Cu>Ag

  <イオン化傾向の大きい金属>
    電子を失って陽イオンになりやすい→酸化されやすい→還元作用が強い
    2Na + 2HO → 2NaOH + H
    Ca + 2H
O → Ca(OH) + H

  <イオン化傾向の小さい金属>
    電子を失いにくい
    陽イオンは電子を得て金属になりやすい→還元されやすい

 イオン化傾向を大きなものから 順に並べたものをイオン化列といいます。
 イオン化列は,(大)←K,Ca,Na,Mg,Al,Zn,Fe,Ni,Sn,Pb,(H2),Cu,Hg,Ag,Pt,Au→(小)です。いろいろな覚え方があるようです。
 このイオン化列は,先ほどの実験のように,金属塩の水溶液に金属を入れたとき,変化があるかどうかで決まりますが,実際には標準電極電位の値の順で決まります。この機会に,標準電極電位を説明しておきましょう。

(2) 標準電極電位

    単体を,そのイオンが1mol/ で存在する溶液につけたとき,単体と溶液の間に生じる起電力
    イオン化列の具体的な順序を示す
    Zn2+ + 2e ⇔ Zn  −0.763V
    Cu2+ + 2e ⇔ Cu  +0.337V
    Ag + e ⇔ Ag    +0.799V
    Cl + 2e ⇔ 2Cl  +1.360V

 ここに,ビーカーが3つあります。1つ目のビーカーには1mol/ の硫酸亜鉛水溶液が入っており,その中に亜鉛板をつけています。2つ目のビーカーには1mol/ の硫酸銅(U)水溶液が入っており,その中に銅板をつけています。3つ目のビーカーには1mol/ の硝酸銅水溶液が入っており,その中に銀板をつけています。
 さて,このうちの2枚の金属板を電圧計でつないで,電位差を測りたいと思います。しかし,このままでは,電位差は0Vです。そこで,2つのビーカーの水溶液にペーパークロマト用のろ紙を入れると,両方の水溶液がろ紙を伝わって出会ったときに電位差が発生します。それを測定すると,次のようになりました。

(3) 金属間の電位差
    
Ag―――――――――――― +
         ↑
       0.46V          ↑
         ↓
    Cu――――――――  1.56V
         ↑
        1.10V         ↓
         ↓
    Zn――――――――――――  −
 塩素と銅で電池ができましたね。そのときの電位差は約1Vです。銅の標準電極電池は+0.337V,塩素のそれは+1.360V,その差は1.023Vです。測定値と一致していませんか。では,先ほどの金属間の電位差と,標準電極電位の差が一致するかどうか確認して下さい。
 今日は,電池の原理について学びました。
                               
 それでは,今日の学習内容の確認です。
1.金属の単体が水溶液中で陽イオンになる性質の強さのことを何といいますか?→イオン化傾向
2.銀,亜鉛,銅のうち,最も陽イオンになりやすいものはどれですか?→
亜鉛
3.イオン化列の具体的な順序を示す電位を何といいますか?→
標準電極電位
4.銀と銅とで電池をつくると,電圧は0.47Vでした。また,銅と亜鉛とで電池をつくると,電圧は1.1Vでした。では,銀と亜鉛とで電池をつくると,電圧は何Vになると予想できますか?→
1.6V