2004年7月1日(木) 04ko2-14 T実験19 電気分解の量的関係

 銅を電極として,硫酸銅(II)水溶液を電気分解すると,どのような変化がありましたか。
CuSO→Cu2++SO2−
陰極:Cu2++2e→Cu
陽極:Cu→Cu2++2e
 陰極の銅の質量が増し,陽極の銅の質量が減少しましたね。では,このとき,陰極の質量の増加分と,陽極の質量の減少分との間には,どのような関係があるのでしょうか。また,回路を流れる電流の強さや通電時間と,質量の変化との間にはどのような関係があるのでしょうか。さっそく,実験で確かめてみましょう。
                                

実験19 電気分解の量的関係

1.2枚の銅板の質量を測定する。
2.ビーカーに約100m の0.5mol/の硫酸銅(II)水溶液を入れ,下図のような装置を組む。このとき,硫酸銅(II)水溶液に浸かっている銅板の面積を一定にしておく。
3.電流の強さを1.0Aにして,5分間電流を通す。
4.電極にした銅板を取り出し,ビーカーに入れた水につけて水洗いした後,ろ紙で挟んで水分をとる。
5.各銅板の質量を測定する。

[結果の整理]
開始時の電流値       A
終了時の電流値       A
通電時間           秒
銅板の質量 陽極 陰極
開始時      g     g
終了時      g     g
増減      g     g

 実験結果を確認しましょう。

 陽極は0.10g程度質量が減少しました。それに対して陰極は0.10g程度質量が増加しました。したがって,陽極の質量減少分と陰極の質量増加分が一致します。
 通電時間は5分ですから300秒ですね。電流は1.0Aを保っていたはずです。したがって,電気量は電流〔A〕と時間〔秒〕の積ですから,1.0×300=300〔C〕いうことになります。すなわち,300Cの電気量で,銅の増減が0.10gという結果です。
                    
 では,0.10gの銅は何molでしょうか。銅のモル質量は63.55g/molだから,0.10/63.55≒0.00157〔mol〕です。銅(II)イオンは,2価の陽イオンですから,銅(II)イオン1個が銅原子になるには2個の電子が必要ですね。したがって,この電気分解では0.00315molの電子が関与したことになります。電子0.00315molが回路に流れたときの電気量が300Cというわけです。したがって,電子1molが流れたときの電気量は,300/0.00315≒95000〔C〕という結果です。教科書には,電子1molの電気量は9.65×10C/molと記載されています。
 それでは,考察です。

1 電極の変化は 陽極;Cu→Cu2++2e 
            陰極;Cu2++2e→Cu
2 電気分解で流れた電気量は 1.0×300=300〔C〕
3 電子1molの移動に要する電気量〔C〕は 300×31.78/0.10=95000〔C〕

 この実験では,質量の増減が2桁である。したがって,実験結果から得られた電子1molの移動に要する電気量〔C〕は2桁になる。途中の計算では,1桁多くとって,有効数字3桁で処理をする。できるだけ1つの式にまとめ,割り算を最後に行うと,このような処理は不要になる。
 また,理論値と実験値の違いは,反応中の電流値の変動(意外とこれが大きい),銅板に析出した銅がはがれ落ちることなどが考えられる。


 この実験結果を逆算すると,電子1molの移動に要する電気量〔C〕が理論値の96500Cになるためには,300×31.775/=96500,=0.0987…となり,10mgの感量の天秤では0.10gとなります。仮に,0.01g異なると,電子1molの移動に要する電気量は,300×31.78/0.09=100000〔C〕,または,300×31.78/0.11=87000〔C〕になります。たった0.01gでも,電気量は大きく異なりますね。
 今日の実験のポイントは,次の通りです。
1.銅電極を用いて,硫酸銅(II)水溶液を電気分解すると,陽極の銅の質量が減少し,陰極の銅の質量が増加します。
2.陽極で減少した質量と,陰極で増加した銅の質量は等しいですね。
3.電気分解で流れた電気量〔C〕は,電流〔A〕と時間〔秒〕の積で求めることができます。
4.電子1molの移動に要する電気量は9.65×10〔C/mol〕で,そのとき銅の増減は0.50mol(32g)です。