2004年7月15日(木) 04ko2-16 T実験28−塩素とヨウ素
今日は17族元素の塩素とヨウ素について勉強します。17族元素はハロゲンと総称されていますが,Haloはギリシャ語で「造塩」,genは「素」の意味です。NaClなどの塩をつくる素になっているという意味でしょう。実験では,塩素を発生させてその性質について調べます。塩素は有毒な気体ですから,十分気をつけてください。できるだけ吸い込まないようにし,教室の換気に気をつけてください。 ![]() |
実験28 塩素とヨウ素 <塩素> 1−1 塩素の発生を止めるために使用するチオ硫酸ナトリウム水溶液13mlを用意する。 1−2 口径24mmの試験管にさらし粉小さじ1杯入れ,希塩酸を5ml加え,すぐにラップで試験管の口を覆う。 1−3 乾いた駒込ピペットをラップの中央に小さい穴をあけて差し込み,発生した塩素を吸い取る。塩素は試験管3本分を捕集し,ゴム栓をしておく。 1−4 捕集が終わったら,チオ硫酸ナトリウム水溶液を口径24mmの試験管に加え,塩素の発生を止める。 1−5 塩素の入っている1本目の試験管に,湿らせたpH試験紙とヨウ化カリウムデンプン紙を近づけ,それぞれ素早く色の変化をみた後,試験管の中に入れ,ゴム栓をする。さらに,うすい赤インクを湿らせたろ紙も試験管の中に入れ,ゴム栓をする。 ![]() 実験終了後,塩素はドラフトに捨てること。 ![]() 1−6 ペーパークロマト用のろ紙を純水で湿らせた後,少量の粉末銅をうすく約1cm2付着させ,塩素が入っている2本目の試験管に入れ,ゴム栓をする。 1−7 1−6の試験管に純水2ml加え,粉末銅に純水がかかるように振る。 1−8 1−7の水溶液に,硝酸銀水溶液を2〜3滴加える。 ![]() 1−9 ヨウ化カリウムと臭化カリウムの各結晶をごく少量ずつ別々の試験管に取り,それぞれに純水3ml加えて溶かす。塩素の入っている3本目の試験管から駒込ピペットで少量の塩素を吸い取り,各水溶液の液面の上に塩素を吹きかけ,試験管を振らずに変化を観察する。その後,よく振って観察する。 ![]() 1−10 1−9で用いた試験管に,純水2ml加え,ゴム栓をしてよく振る。これに硝酸銀水溶液を2〜3滴加えて変化を観察する。 |
実験結果を確認しましょう。1−4 塩素の色は黄緑色で,においは刺激臭です。 1−5 pH試験紙は,いったん橙色に変化し,その後白色になります。ヨウ化カリウムデンプン紙は,いったん青紫色に変化し,その後白色になります。うすい赤インクを湿らせたろ紙も白色になります。最終的には,塩素によって漂白されるからですね。 1−6 粉末銅は褐色に変化します。これは塩化銅(II)です。 1−7 水溶液は青色になります。2価の銅イオンができているからですね。 1−8 白濁します。これは塩化銀の沈殿ですね。塩化物イオンができていたことがわかります。 1−9 ヨウ化カリウム水溶液では,液面から褐色に変化し,振ると全体が褐色になります。ヨウ素ができているのです。臭化カリウム水溶液では,液面から黄色に変化し,振ると全体が黄色になります。臭素ができているのです。 1−10 白濁します。これは塩化銀の沈殿ですね。塩化物イオンができていたことがわかります。 |
<ヨウ素> 2−1 口径15mmの試験管に輪ゴムを巻き,その中に氷水を1/4程度入れる。 2−2 口径18mmの乾いた試験管にヨウ素を小さじ1/3入れ,2−1の試験管を差し込み,熱湯を入れたビーカーに浸す。 ![]() 2−3 2−2のヨウ素が入った試験管に,純水3mlを加えてよく振り,ヨウ素が純水に溶けるかどうかを調べる。 2−4 2−3の水溶液にヨウ化カリウムの結晶を1個入れ,よく振る。 2−5 2本の試験管にデンプン水溶液を2mlずつ取り,1本目に2−4の水溶液,2本目にKIの結晶1個をそれぞれ加える。 |
実験結果を確認しましょう。2−2 蒸気の色は紫色で,氷水の入った試験管の底に紫色の固体がつきます。これはヨウ素です。 2−3 水溶液の色はうすい黄色で,ヨウ素は水に溶けにくいことがわかります。 2−4 水溶液の色は褐色で,ヨウ素はヨウ化カリウム水溶液によく溶けることがわかります。これがヨウ素溶液とよばれているものですね。 2−5 デンプンとヨウ素溶液との反応により青紫色に変化します。しかし,デンプンにヨウ化カリウムを加えても色の変化はありません。これにより,ヨウ素デンプン反応は,ヨウ素分子が関係していることがわかります。 それでは考察です。 |
1.さらし粉に塩酸を加えると,次の反応が起こって塩素が発生する。 CaCl(ClO)・H2O+2HCl→CaCl2+2H2O+Cl2 酸化マンガン(IV)に濃塩酸を加えて加熱しても塩素が発生する。 MnO2+4HCl→MnCl2+2H2O+Cl2 工業的には,塩化ナトリウム水溶液の電気分解で製造する。 2NaCl+2H2O→2NaOH+H2+Cl2 2.pH試験はいったん酸性を示す色になるが,すぐに漂白されて白色に変化する。ヨウ化カリウムデンプン紙は,ヨウ化物イオンが塩素により酸化されてヨウ素に変化し,ヨウ素デンプン反応で青紫色になるが,すぐに漂白されて白色に変化する。 3.塩素が水に溶けると,次の反応が起こる。Cl2+H2O→HCl+HClO 酸性を確認するためにpH試験紙を湿らせた。また,脱色によってHClOによる漂白作用を確認するためにpH試験紙やヨウ化カリウムデンプン紙を湿らせた。 4.水溶液が青色になったことより,二価の銅イオンCu2+を確認することができる。また,塩化銀の白色沈殿が生じたことにより塩化物イオンCl−を確認することができる。 5.銅と塩素の反応は,次の化学反応式で表すことができる。 Cu+Cl2→CuCl2 6.ヨウ化カリウムや臭化カリウムと塩素の反応は,次の化学反応式で表すことができる。 2KI+Cl2→2KCl+I2, 2KBr+Cl2→2KCl+Br2 7.塩素が水に溶けたときの反応は,次の化学反応式で表すことができる。 Cl2+H2O→HCl+HClO 8.固体のヨウ素は黒紫色,気体は紫色で昇華性がある。水には溶けにくく,ヨウ化カリウム水溶液には溶けやすい。デンプンとの反応で青紫色を示す。 Cl2+Na2S2O3+H2O→Na2SO4+2HCl+S または, 4Cl2+Na2S2O3+5H2O→Na2SO4+8HCl+H2SO4 つまり塩素を還元して毒性をなくす。金魚や熱帯魚の飼育用の水は,水道水にチオ硫酸ナトリウムを加えて塩素を除いたものを使う(カルキ抜き)。 |
いろいろな操作がありましたが,よく整理してください。今日の実験のポイントは,次の通りです。1.さらし粉に塩酸を加えると塩素が発生します。 2.塩素は室温で黄緑色の気体です。 3.塩素が水に溶けると,HClとHClOができます。その結果,水溶液は酸性で,漂白作用があります。 4.塩素と銅の反応により,塩化銅(II)CuCl2ができます。 5.塩素は臭素やヨウ素より酸化力が強いので,臭化物イオンを臭素分子に,ヨウ化物イオンをヨウ素分子に変化させます。 6.ヨウ素は室温で黒紫色の固体で,昇華性があります。 7.ヨウ素は水に溶けにくいですが,ヨウ化カリウム水溶液にはよく溶けます。 |