2004年9月16日(木) 04ko2-21 炭素の単体と化合物
 今日は14族典型元素の炭素について,勉強しましょう。炭素の価電子は何個でしたか?4個でしたね。この価電子がすべて不対電子であるため,炭素原子は4個の他の原子と共有結合ができるのです。
 炭素は石炭や木炭の成分として古くからよく知られた元素であり,特定の発見者はいないようです。英語名carbonは,フランスのトモルボーがラテン語の木炭carboにちなんだcarboneを1787年に提唱したことに由来するそうです。ドイツ語ではKohlenstoff(炭の物質)とよび,日本語の炭素と同じです。
                     
 今日の学習内容は,次の通りです。
(1)炭素族元素
(2)炭素の単体
(3)炭素の化合物
 最初は,炭素族元素です。

14 炭素の単体と化合物
(1) 炭素族元素
   
C carbon 炭(ラテン語)
   Si silicon ケイ砂(ラテン語)
   価電子が4個→他の原子と共有結合
 60分子の存在は,豊橋技術大学の大沢映二教授が1970年に最初に予想しました。π電子が3次元的に移動できる分子を考案している中で予想したものです。しかし,C60は1985年に英米の化学者H.W.クロート(サセックス大学),R.E.スモーリー(ライス大学)の共同研究により実際に発見されました。二人はクラスターについて研究し,一連の物質をフラーレンとよびました。
 クラスターとは,原子が数個〜数百個集まった集合体のことで,結晶や個々の原子・分子とは異なった性質を示します。真空中で黒鉛に強力なレーザーを照射すると炭素原子となって蒸発しますが,真空中で炭素原子が集まると共有結合の分子すなわち炭素クラスターができます。クロートたちは,炭素蒸気中にごく微量のC60とともにC70を見出し,サッカーボール・ラグビーボール型の分子を想定しました。得られたクラスターは微量でしたが,その大部分はC60であったといいます。
 クロートたちはC60を検出したものの,これを単離することはできませんでした。C60をグラム単位で取り出すことに成功したのは1990年で,W.Krätschmer(マックスプランク核物理学研究所),D.R.Huffman(アリゾナ大学)の共同研究によります。彼らは,ヘリウムガス中で黒鉛に電流を通じてススをつくり,その中のベンゼンに溶ける成分をカラムクロマト法で分離して取り出しました。
 C60の正確な分子構造は,5Kに冷却した結晶の中性子回折により求められました。そして,12個の五角形と20個の六角形からなるサッカーボール型であることが確定しました。C60分子の直径は約0.7nmで,分子内に金属イオンや小さい分子を取り込む余地が十分にあります。そのような化合物の研究はこれからです。
 1996年のノーベル科学賞は,フラーレンC60の発見に対して,サセックス大学のクロート(英),ライス大学のスモーリーと カール(米)の三教授に与えられました。
 C60フラーレンは,ベンゼンに溶けて赤色の溶液になります。比較のために,少量の活性炭をベンゼンに加えてみましょう。溶けません。
                       

(2) 炭素の単体
   
同素体…ダイヤモンド,黒鉛,フラーレン
 <ダイヤモンド>
   共有結合の結晶で,C原子が他の4個のC原子と共有結合→正四面体型
   最も硬い透明な結晶
   融点が高く,屈折率が大きい
   研磨剤や切削材
 
 <黒鉛>
   共有結合の結晶で,C原子が他の3個のC原子と共有結合→平面構造
   C原子の価電子1個が,平面状分子に沿って移動→電気伝導性,金属光沢
   灰黒色結晶で,軟らかい
   電極や鉛筆の芯などに利用
 
 <フラーレン>
   C60,C70などの分子式をもった球状分子
   現在,性質の研究が進んでいる
 
 炭素の酸化物には,一酸化炭素や二酸化炭素があります。一酸化炭素の毒性が強いことは有名ですから,たぶん知っていたでしょう。一酸化窒素は血液中のヘモグロビンと強く結合する性質があります。酸素より1000倍も強いといわれています。一酸化窒素がヘモグロビンに結びついてしまえば,酸素を体内に運ぶことができなくなります。
 二酸化炭素は赤外線を吸収しやすいので,大気中の二酸化炭素は熱を保持する性質があるといわれています。
                  

(3) 炭素の化合物
 
<一酸化炭素>
   無色,無臭,毒性が強い
   二酸化炭素を炭素で還元
   CO + C → 2CO
   ギ酸を濃硫酸と加熱
   HCOOH → HO + CO

 <二酸化炭素>
   無色,無臭
   炭酸塩に希塩酸を加える
   CaCO + 2HCl → CaCl + HO + CO
   石灰石を熱分解
   CaCO → CaO + CO
   水溶液は弱い酸性
   石灰水に通すと白濁
   Ca(OH) + CO → CaCO + H
   CaCO + HO + CO → Ca(HCO)

 <有機化合物>
   1828年 ウェーラー(ドイツ)
   無機化合物であるシアン酸アンモニウムから有機化合物である尿素を合成
   NHOCN → HNCONH
   炭素を含む化合物(CO,CO,シアン化物,炭酸塩を除く)

 炭素の化合物は,非常に種類が多いのが特徴です。そして,その大部分は有機化合物です。有機化合物については,種類が多いので,構造や官能基で分類します。
 それでは,今日の学習内容の確認です。
1.炭素原子は価電子が何個ありますか?→4個
2.炭素の同素体を3種類上げなさい。→ダイヤモンド,黒鉛,フラーレン
3.ギ酸を濃硫酸と加熱すると,何が発生しますか?→一酸化炭素
4.炭酸塩に希塩酸を加えると,何が発生しますか?→二酸化炭素
5.二酸化炭素を石灰水に通じると,白濁する。この反応を,化学反応式で示しなさい。また,二酸化炭素を通じ続けると,白濁が消える。この反応を,化学反応式で示しなさい。→Ca(OH)+CO→CaCO+H
CaCO
+HO+CO→Ca(HCO)
6.1828年ドイツのウェーラーは,シアン酸アンモニウムから何を合成しましたか?→尿素