2004年10月14日(木) 04ko2-25 アルミニウム・亜鉛とその化合物
アルミニウムや亜鉛は両性元素であり,他にスズと鉛も両性元素です。しかし,両性元素については,教科書によって定義が異なっていますから,注意が必要です。両性化合物をつくる元素(啓林館) 酸の水溶液とも強塩基の水溶液とも反応して,それぞれ塩をつくるような元素(数研) アルミニウムは両性元素であり,単体は酸にも強塩基にも溶けて水素を発生する。(三省堂) 単体や化合物が,酸ともアルカリとも反応するような元素(第一学習社) 酸とも強塩基とも反応する元素(実教出版) 東京書籍には定義はありません。 どの社も,微妙に意味が違っていますね。 とりあえず,アルミニウム,亜鉛,スズ,鉛は両性元素といわれており,両性元素の酸化物は両性酸化物,両性元素の水酸化物は両性水酸化物であるとしておきましょう。ちなみに,両性酸化物は,塩基としても酸としてもはたらく酸化物であり,両性水酸化物は,塩基としても酸としてもはたらく水酸化物という意味です。 今日の学習内容は,次の通りです。 (1) アルミニウムの単体 (2) アルミニウムの化合物 (3) 亜鉛の単体 (4) 亜鉛の化合物 1807年イギリスのデービーは,ミョウバンからアルミニウムの酸化物を単離しました。ちなみに,ミョウバンとは硫酸カリウムアルミニウム十二水和物AlK(SO4)2・12H2Oです。 アルミニウムの単体は,ボーキサイト(主成分Al2O3・nH2O)を原料にして,酸化物の融解塩電解でつくられています。 アルミニウムの代表的な合金にジュラルミンがありますね。これはAlにCu4%,Mn0.5%,Mg0.5%加えたもので,軽くて堅く,加工が容易なため航空機などによく使われています。 |
17 アルミニウム・亜鉛とその化合物 (1)アルミニウムの単体 Al aluminium → alumen (ラテン語のミョウバン) 価電子が3個 → 3価の陽イオン 両性元素 酸,強塩基と反応 2Al + 6HCl → 2AlCl3 + 3H2 2Al + 2NaOH + 6H2O → 2Na[Al(OH)4] + 3H2 テトラヒドロキソアルミン酸ナトリウム 濃硝酸とは反応しない→不動態 他にFe,Niなど |
酸化物は,酸・塩基との反応の違いから,塩基性酸化物,酸性酸化物,両性酸化物に分類できます。塩基性酸化物は金属元素の酸化物で,水溶液は塩基性で,酸と反応します。主なものは,Na2O,CaO,CuOなどです。 酸性酸化物は非金属の酸化物で,水溶液は酸性,塩基と反応します。主なものは,CO2,NO2,SO3です。 両性酸化物は両性元素の酸化物です。酸とも塩基とも反応します。主なものは,Al2O3,ZnO,SnO2です。 また,酸とも塩基とも反応する水酸化物を両性水酸化物といいます。 |
(2)アルミニウムの化合物 <両性酸化物> 塩基として,また酸としてもはたらく酸化物 Al2O3 + 6HCl → 2AlCl3 + 3H2O Al2O3 + 2NaOH + 3H2O → 2Na[Al(OH)4] <両性水酸化物> 塩基として,また酸としてもはたらく水酸化物 Al(OH)3 + 3HCl → AlCl3 + 3H2O Al(OH)3 + NaOH → Na[Al(OH)4] |
1746年ドイツのマルクグラフは閃亜鉛鉱ZnSから亜鉛の単体を得る方法を見いだしました。黄銅をしていますか。強くて加工が容易なため,装飾品や加工材料に使われています。黄銅は,銅と亜鉛の合金です。ブラスバンドのブラスとは真鍮の意味です。 トタンは誰でも知っていますね。鋼板に亜鉛のめっきをしたものです。トタン板では,板に傷が付いても,イオン化傾向の大きい亜鉛が鉄よりも先に酸化されるので,亜鉛が溶けて鋼板の腐食を防ぐのです。 |
(3)亜鉛の単体 Zn zinc ← ラテン語の白い鉱床 価電子が2個 → 2価の陽イオン 両性元素 Zn + 2HCl → ZnCl2 + H2 Zn + 2NaOH + 2H2O → Na2[Zn(OH)4] + H2 テトラヒドロキソ亜鉛(II)酸ナトリウム |
亜鉛の酸化物は両性酸化物です。酸化亜鉛は,白色粉末で,顔料として塗料や絵の具の原料になっています。また,亜鉛の水酸化物は両性水酸化物です。![]() |
(4)亜鉛の化合物 <両性酸化物> ZnO + 2HCl → ZnCl2 + H2O ZnO + 2NaOH + H2O → Na2[Zn(OH)4] <両性水酸化物> Zn(OH)2 + 2HCl → ZnCl2 + 2H2O Zn(OH)2 + 2NaOH → Na2[Zn(OH)4] <アンモニア水との反応> 少量;Zn2+ + 2OH− → Zn(OH)2 多量;Zn(OH)2 + 4NH3 → [Zn(NH3)4](OH)2 テトラアンミン亜鉛(II)水酸化物 |
スズと鉛も両性元素です。鋼板にスズでめっきをしたものをブリキといいます。オズの魔法使いにブリキの人形が登場しますが,ブリキ君は鉄とスズからできているのです。ブリキ君の表面に傷が付くと,内部の鋼板が先に酸化されます。 青銅は銅とスズの合金です。腐食しにくいため,銅像や貨幣などに使われます。 ![]() はんだは鉛とスズの合金です。融点が低いため,いわゆるはんだ付けに利用されています。 鉛の化合物は,硝酸鉛(II)Pb(NO3)2や酢酸鉛(II)Pb(CH3COO)2以外は水に溶けにくいことを覚えておいて下さい。 日本の硬貨は,何からできているか知っていますか。1円硬貨はアルミニウムでできていることは知っていますね。100%アルミニウムで,質量は1.00gです。5円硬貨は黄銅です。銅が60%,亜鉛が40%で,質量は3.75gです。10円硬貨は銅が95%,亜鉛が4%,スズが1%です。銅以外が両性元素であるとはおもしろいですね。 ![]() それでは,今日の学習内容の確認です。 1.アルミニウムが塩酸や水酸化ナトリウムと反応すると,それぞれ水素以外に何ができますか?→塩化アルミニウムAlCl3とテトラヒドロキソアルミン酸ナトリウムNa[Al(OH)4] 2.アルミニウムイオンを含む水溶液に塩基を加えると,何が沈殿しますか?→水酸化アルミニウムAl(OH)3 3.2の沈殿物に水酸化ナトリウム水溶液を加えると,何ができますか?→テトラヒドロキソアルミン酸ナトリウムNa[Al(OH)4] 4.亜鉛が塩酸や水酸化ナトリウム水溶液と反応すると,それぞれ水素以外に何ができますか?→塩化亜鉛ZnCl2とテトラヒドロキソ亜鉛(II)酸ナトリウムNa2[Zn(OH)4] 5.亜鉛イオンを含む水溶液に塩基を加えると,何が沈殿しますか?→水酸化亜鉛Zn(OH)2 6.5の沈殿物に水酸化ナトリウム水溶液を加えると,何ができますか?→テトラヒドロキソ亜鉛(II)酸ナトリウムNa2[Zn(OH)4] 7.水酸化亜鉛にアンモニア水を加えると,何ができますか?→テトラアンミン亜鉛(II)水酸化物[Zn(NH3)4](OH)2 |