2004年11月4日(木) 04ko2-28 T実験31 鉄イオンの反応と鉄の腐食
鉄は身近な金属で,私たちの生活になくてはならないものです。しかし,鉄イオンには主に2価と3価があり,あまり簡単な金属とはいえません。![]() 今日の実験のポイントは2つです。まず鉄(II)イオンと鉄(III)イオンの区別ができること,もちろん化学的にです。それから,鉄と酸との反応を理解すること,特に塩酸,硝酸との反応です。 |
実験31 鉄イオンの反応と鉄の腐食 <鉄(II)イオンの反応> 1.硫酸鉄(II)七水和物FeSO4・7H2Oまたは硫酸鉄(II)アンモニウム(モール塩)FeSO4(NH4)2SO4・6H2Oを試験管に小さじ1杯とり,純水12ml に溶かし,6等分する。 2.それぞれに水酸化ナトリウム水溶液,アンモニア水,ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム水溶液,ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム水溶液,チオシアン酸カリウム水溶液(アンモニア水以外はすべて0.1mol/l ,アンモニア水は1mol/l )を少量加える。 <鉄(III)イオンの反応> 3.7本の試験管に0.1mol/l 塩化鉄(III)水溶液を2ml ずつとり,それぞれに水酸化ナトリウム水溶液,アンモニア水,ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム水溶液,ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム水溶液,チオシアン酸カリウム水溶液,(アンモニア水以外はすべて0.1mol/l ,アンモニア水は1mol/l )を少量加える。
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鉄(II)イオンは酸化されやすいので,この実験では硫酸鉄(II)七水和物FeSO4・7H2Oまたはモール塩FeSO4(NH4)2SO4・6H2Oを用い,実験の直前に水溶液にします。まず,鉄(II)イオンを含んだ水溶液の色と,鉄(III)イオンを含んだ水溶液の色の違いを確認して下さい。この色で,鉄イオンのどちらであるかを,ある程度判断することができます。 鉄(II)イオンと塩基との反応で,水酸化鉄(II)の沈殿ができます。 Fe2+ + 2OH− → Fe(OH)2↓ また,鉄(III)イオンと塩基との反応で,水酸化鉄(III)の沈殿ができます。 Fe3+ + 3OH− → Fe(OH)3↓ 水酸化鉄(II)と水酸化鉄(III)の色の違いに注意して下さい。 ![]() 鉄(II)イオンとヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムとの反応では,白色沈殿ができると教科書には記載されています。しかし,実際には青白色沈殿がみられます。これは,2価の鉄イオンの一部が空気酸化により3価になったためと考えることができます。 溶液の色と沈殿の有無
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<鉄と酸・塩基との反応> 4.6mol/l 塩酸,6mol/l 硝酸,1mol/l 水酸化ナトリウム水溶液3ml に,それぞれ鉄片を加える。反応が遅いときには緩やかに加熱する。 5.4で変化のあった溶液を,それぞれ2等分し,一方に ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム水溶液を,他方にヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムを少量加える。
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鉄は塩酸と硝酸に溶けました。ただし,鉄は濃硝酸には溶けないことは知っていますね。不動態になるからです。鉄が塩酸や硝酸に溶けると,どのようなイオンになっているのでしょうか。 塩酸に溶けたときは,溶液にK4[Fe(CN)6]aqを加えると,青白色沈殿がみられ,K3[Fe(CN)6]aqを加えると,濃青色沈殿がみられます。このことより,溶液中に存在しているイオンは,鉄(II)イオンであることがわかります。 硝酸に溶けたときは,溶液にK4[Fe(CN)6]aqを加えると,濃青色沈殿がみられ,K3[Fe(CN)6]aqを加えると,濃青色沈殿がみられます。これはおかしいですね。もし鉄(III)イオンであるなら,K3[Fe(CN)6]aqを加えたときは褐色溶液になるはずです。この結果では,鉄(III)イオンではないし,もちろん鉄(II)イオンでもありません。 ![]() ではどう考えたらよいのでしょうか。もし,鉄(II)イオンと鉄(III)イオンが混ざっていたらどうなるでしょう。硝酸との反応では,まず鉄(II)イオンができると考えられます。しかし,硝酸は酸化作用のある酸です。できた鉄(II)イオンは,さらに酸化されて鉄(III)イオンになるのです。でも,どうやらすべてが鉄(III)イオンにはなっているわけではないようですね。 鉄と酸・塩基の反応
それでは,考察に移りましょう。 |
1 塩基との反応は Fe2++2OH−→Fe(OH)2↓ Fe3++3OH−→Fe(OH)3↓ 2 鉄と塩酸の反応は Fe+2HCl→FeCl2+H2↑ 3 鉄と塩酸,硝酸との反応の違いは HCl…Fe2+(+2価) NHO3…Fe2+(+2価)とFe3+(+3価) まず,Fe2+ができ,それが酸化されてFe3+になる。硝酸には酸化作用があるから。 4 希硝酸ではなく,濃硝酸に鉄を入れると 鉄は不動態をつくるため,濃硝酸には溶けない。 |
今日の実験は,いろいろな色の沈殿がみられて楽しかったですね。実は,鉄は遷移元素です。遷移元素の化合物は有色のものが多いのです。また,遷移元素は,複数の酸化数を示すことが多いのです。鉄はなかなか奥が深そうですね。![]() 今日の実験のポイントは,次の通りです。 1.塩基との反応では,Fe2+は水酸化鉄(II)鉄Fe(OH)2の緑白色沈殿,Fe3+は水酸化鉄(III)鉄Fe(OH)3の赤褐色沈殿を生じます。 2.ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムK4[Fe(CN)6]との反応では,Fe3+は濃青色沈殿(紺青)を生じます。 3.ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムK3[Fe(CN)6]との反応では,Fe2+は濃青色沈殿(ターンブル青)を生じます。 4.チオシアン酸カリウムKSCNとの反応では,Fe3+は血赤色溶液となります。 5.鉄と塩酸との反応では,2価の鉄イオンFe2+ができます。鉄と希硝酸との反応では,2価の鉄イオンFe2+と3価の鉄イオンFe3+の両方ができます。硝酸には酸化作用があるためです。 |