2004年11月11日(木) 04ko2-29 銅と銀
 今日は,銅や銀について学びましょう。銅や銀といえば,オリンピックのメダルを思い出しますね。               
 
今日の学習内容は,次の通りです。
(1)
(2)
 人類が銅を利用した歴史は大変古く,最古のものは,紀元前8800年頃の小玉が北イラクで発見されています。もちろん,当時は還元の技術がなかったと思われますから,天然の銅を使ったのでしょう。精錬がはじめられたのは,紀元前500年頃であると考えられています。
 銅は黄銅鉱CuFeSとして産出されます。これに石灰石やけい砂を混ぜて加熱し,電気精錬によって銅をつくります。純銅だけではなく,青銅(銅とスズ),真鍮(銅と亜鉛)などの合金としてもよく使われています。銅は延性,展性に富み,電気伝導性や熱伝導性は銀に次いでいます。
 大阪城の屋根が何色か知っていますか。緑色ですね。あれは緑青です。湿った空気中では赤色の酸化銅(I)の被膜ができ,長く風雨にさらすと緑色の緑青になるのです。緑青の主成分は,塩基性炭酸銅CuCO・Cu(OH)です。
 銅は酸化数+2の化合物が多いのですが,酸化数+1の化合物も存在します。例えば,酸化銅(I)CuOや塩化銅(I)CuClなどです。
 2価の銅イオンを含んだ水溶液は青色だといいますが,詳しくいえばテトラアクア銅(II)イオン[Cu(HO)2+が青色の原因なのです。

19 銅と銀

(1) 
    Cu copper ← cyprusキプロス島(古代の銅鉱山)
    酸化数+2の化合物が多い,+1の化合物も存在
    CuSO・5HO(青色)⇔CuSO(白色)
    水の検出に使われる。
    熱濃硫酸と反応して,二酸化硫黄を発生する。
    Cu + 2HSO → CuSO + 2HO + SO
    0       +6 加熱 +2              +4
    
   <塩基との反応>
    銅(II)イオンに塩基を加えると,水酸化銅(II)になる。
    Cu2+ + 2OH → Cu(OH)
    CuSO + 2NaOH → Cu(OH)↓ + NaSO
    アンモニア水を加えると,テトラアンミン銅(II)イオンになる。
    Cu(OH) + 4NH → [Cu(NH](OH)
                  テトラアンミン銅(II)水酸化物
   <加熱>
    水酸化銅(II)を加熱すると酸化銅(II)になる。
    Cu(OH) → CuO + H

   <酸との反応>
    酸化銅(II)に希硫酸を加えると,銅(II)イオンになる。
    CuO + 2H → Cu2+ + H
    CuO + HSO → CuSO + H
 水の検出方法としては,塩化コバルトが有名です。中学校の教科書でも,青色の塩化コバルト紙が登場しましたね。塩化コバルト以外に硫酸銅(II)(無水硫酸銅)CuSOでも水を検出することができるのです。
 次は銀です。銀は紀元前3000年頃には使われていたと考えられています。語源は輝く,明るいという意味だそうです。当時,銀は金よりも価値があったようです。銀行の銀はもちろんAgのことです。
 銀は主として輝銀鉱AgSとして産出します。また,遊離銀として存在することもあります。
 銀は,金属の中でも最も電気伝導性や熱伝導性に優れた金属です。また,空気中では酸化されにくい金属です。したがって,指輪や食器に使われるのです。                                                         
 
銀の酸化数は,主に+1ですが,+2や+3も存在します。高校では,+1だけと考えても大丈夫です。
 銀といえば感光性ですね。写真のフィルムの感光膜は,塩化銀や臭化銀の微粒子を分散させたものです。これが光に当たると,銀塩が分解して,遊離した銀原子が数個集まって潜像ができます。これに還元剤を加えうると,銀塩が還元されて銀の粒子が大きくなり,黒い像が見えるようになるのです。
                        


(2) 
    Ag silver argentum(ラテン語で輝く)
    酸化数+1の化合物をつくる
    Ag + 2HNO → AgNO + HO + NO 

  <塩基との反応>
    銀(I)イオンに塩基を加えると,酸化銀になる。
    2Ag + 2OH → AgO↓ + H
    2AgNO + 2NaOH → AgO↓ + HO + 2NaNO
    さらにアンモニア水を加えると,ジアンミン銀(T)イオンになる。
    AgO + 4NH + HO → 2[Ag(NH)]OH
                       ジアンミン銀(T)水酸化物
  <ハロゲン化銀>
    塩化銀,臭化銀にアンモニアを加えると,ジアンミン銀(I)塩化物,ジアンミン銀(I)臭化物になる。
    AgCl + 2NH → [Ag(NH)]Cl
    AgBr + 2NH → [Ag(NH)]Br
    ヨウ化銀AgIはアンモニア水に溶けない。
    塩化銀,臭化銀にチオ硫酸イオンを加えると,錯イオンになる。
    AgCl + 2S2− → [Ag(S)3− + Cl
         チオ硫酸イオン ビスチオスルファト銀(I)酸イオン
    AgBr + 2S2− → [Ag(S)3− + Br
    ヨウ化銀はチオ硫酸ナトリウムNa水溶液に少し溶ける。

  <感光性>
    AgBrの感光性が最大
         光
    2AgX → 2Ag + X   
 感光性を調べる実験は,天気のいい日が最適です。
                    
 ビスチオスルファト銀(I)酸イオンについて,説明しましょう。ビスbisとは複合置換基の倍数接頭語です。2がビスで3がトリスです。チオスルファトthiosulfateとはチオ硫酸イオンS2−のことですね。したがって,ビスチオスルファトとはチオ硫酸イオンが2個という意味になります。これが1価の銀イオンと塩をつくり,全体として3価の陰イオンになっているのです。〜酸イオンとは錯陰イオンのことでしたね。
 次回はクロムCrとマンガンMnです。クロムとマンガンといえば,酸化剤を思い出すでしょう。遷移元素のの特徴の一つは,同一元素でも複数の酸化数を示すことが多いことですね。そして,酸化数の高い化合物は,酸化力が強いのです。二クロム酸カリウムKCrや過マンガン酸カリウムKMnOは代表的な酸化剤です。
 今日の学習内容を確認しましょう。
1.電気分解を使って,純銅つくる方法を何といいますか?→電解精錬
2.硫酸銅(II)五水和物と硫酸銅(II)の色の違いを答えなさい。→硫酸銅(II)五水和物は青色,硫酸銅(II)は白色
3.銅(II)イオンに塩基を反応させると,何の沈殿ができますか。→水酸化銅(II)Cu(OH)
4.3の沈殿を加熱すると,何になりますか?→酸化銅(II)CuO
5.3の沈殿にアンモニア水を加えると,何になりますか?→テトラアンミン銅(II)水酸化物[Cu(NH](OH)
6.銀(I)イオンに塩基を反応させると,何の沈殿ができますか?→酸化銀Ag
7.6にアンモニア水を加えると,何になりますか?→ジアンミン銀(I)水酸化物[Ag(NH]OH