二クロム酸カリウムや過マンガン酸カリウムといえば,代表的な酸化剤ですね。今日は,酸化剤として重要なはたらきをしているクロムとマンガンについて学びましょう。今日の学習内容は,次の通りです。 (1)クロム (2)マンガン クロムはギリシャ語で色を示す言葉「クロマ」にちなんで,クロミウムと命名されたそうです。どうして色なのでしょう。クロムは酸化状態によって紫,赤,黄,緑などに色が変化します。まさに,典型的な遷移元素です。 ![]() ここで実験です。 液性によって,クロム酸イオンCrO42−と二クロム酸イオンCr2O72−が相互変化するのですね。 二クロム酸イオンが酸化剤としてはたらくときは,橙赤色の二クロム酸イオンが暗緑色のクロム(III)イオンCu3+に変化をします。そのときのクロム原子の酸化数は+6から+3に変化します。 ![]() |
20 クロムとマンガン (1) クロム Cr chromium ← chroma(ギリシャ語で色という意味) 主に酸化数+2,+3,+6の化合物 <酸化物> CrO(黒色),Cr2O3(緑色),CrO3(暗赤色) CrO3 + H2O → H2CrO4 (酸性酸化物) <クロム酸イオンと二クロム酸イオン> クロム酸カリウム K2CrO4(黄色) 二クロム酸カリウム K2Cr2O7(赤色) 2CrO42− + 2H+ → Cr2O72− + H2O Cr2O72− + 2OH− → 2CrO42− + H2O 酸 CrO42− ⇔ Cr2O72− 塩基 <クロム酸塩> 2Ag+ + CrO42− → Ag2CrO4↓(暗赤色) Pb2+ + CrO42− → PbCrO4↓(黄色) Ba2+ + CrO42− → BaCrO4↓(黄色) <酸化作用> Cr2O72− + 14H+ + 6e− → 2Cr3+ + 7H2O +6橙赤色 +3暗緑色 (COOH)2 → 2CO2 + 2H+ + 2e− +3 +4 |
当初,鉱物マンガナスに由来してマンガネシウムと命名されましたが,1808年にマグネシウムが発見され,名前が紛らわしいのでマンガンとよぶようになったといわれています。ハロゲンの単体は,ふつうハロゲン化物を酸化してつくります。例えば,塩素は,酸化マンガン(IV)に濃塩酸を加えて加熱します。そのときのマンガン原子の酸化数は,+4から+2に減少します。逆に,塩素原子の酸化数は,−1から0に増加します。 代表的な酸化剤である過マンガン酸カリウムKMnO4は赤紫色です。これは,過マンガン酸イオンの色ですね。この過マンガン酸イオンが酸化剤としてはたらくと,マンガン(II)イオンになります。このイオンは,飽和水溶液では明らかに淡赤色ですが,うすい液だとほとんど色はわかりません。無色に見えます。そのとき,マンガン原子の酸化数は,+7から+2の減少します。 過マンガン酸カリウムは,塩基性溶液でも酸化作用を示しますが,黒色の酸化マンガン(IV)が沈殿します。そのときのマンガン原子の酸化数は,+7から+4に減少しています。 ![]() |
(2) マンガン Mn manganese(英語),Mangan(ドイツ語)←magnesia(ラテン語) 主に酸化数+2,+4,+7の化合物 <酸化物> MnO2(黒色粉末) MnO2 + 4H+ + 2e− → Mn2+ + 2H2O (酸化剤) +4黒色粉末 +2淡赤色 2Cl− → Cl2 + 2e− −1 0 <過マンガン酸イオン> MnO4− + 8H+ + 5e− → Mn2+ + 4H2O +7赤紫色 +2淡赤色 (COOH)2 → 2CO2 + 2H+ + 2e− +3 +4 塩基性: MnO4− + 2H2O + 3e− → MnO2↓ + 4OH− +7 +4 |
色の変化が楽しめたでしょうか。また,酸化剤の復習にもなりましたね。それでは,今日の学習内容の確認です。 1.黄色のクロム酸カリウム水溶液に酸を加えると,何色になりますか?→橙赤色 2.橙赤色の二クロム酸カリウム水溶液に塩基を加えると,何色になりますか?→黄色 3.クロム酸イオンを含む水溶液にAg+,Pb+,Ba+を加えると,それぞれ何色の沈殿ができますか?→Ag+;暗赤色,Pb+;黄色,Ba+;黄色 4.過マンガン酸カリウム水溶液は何色ですか?→赤紫色 5.過マンガン酸カリウム水溶液の酸性溶液が酸化剤としてはたらくと,水溶液は何色になりますか?→淡赤色 |