2004年11月25日(木) ko2-34 I実験34−金属イオンの分離

 今日は,金属イオンの分離の実験です。今までに学習したことを思い出しながら,金属イオンの混合溶液から,それぞれのイオンを分離する方法を考えます。
 最初は,銀イオンAg,鉄(III)イオンFe3+,銅(II)イオンCu2+の分離の方法を考えてみましょう。この3種類の金属イオンのうち,塩化物が難溶性であるのは銀イオンでしたね。塩化銀は白色沈殿です。したがって,塩化物イオンを含む水溶液を加え,塩化銀を沈殿させて,それをろ過で除去します。
 水溶液中に残った鉄(III)イオンと銅(II)イオンをどのようにして分離すればよいでしょうか。塩基を加えると,ともに水酸化物の沈殿ができます。しかし,水酸化物にアンモニアを加えると,水酸化銅(II)Cu(OH)は水に溶けましたね。アンモニアの錯イオン,テトラアンミン銅(II)イオン[Cu(NH2+になるからです。したがって,過剰のアンモニア水を加えると,水酸化鉄(III)Fe(OH)が沈殿し,水溶液中にはテトラアンミン銅(II)イオン[Cu(NH2+が残るはずです。
   

実験34 金属イオンの分離
<Ag,Fe3+,Cu2+の分離>
1 0.1mol/ 硝酸銀AgNO2m ,0.3mol/ 硝酸鉄(III)Fe(NO2m ,0.3mol/ 硝酸銅(II)Cu(NO2m 混合した試料を用意する。
2 試料に3mol/ 塩酸HCl1m を加えてよく振り混ぜ,生じた沈殿をろ過する。ろ紙上の沈殿を少量の純水で洗い,洗った水は捨てる。
3 2のろ液に6mol/ アンモニアNH水を3m 加えてよく振り混ぜ,生じた沈殿をろ過する。ろ紙上の沈殿を少量の純水で洗い,洗った水は捨てる。


 実験結果を確認しましょう。



 アの反応;Ag + Cl → AgCl↓
 エの反応;Fe3+ + 3OH → Fe(OH)
       Fe3+ + 3NH + 3HO → Fe(OH)↓ + 3NH       
 オの反応;Cu(OH) + 4NH → [Cu(NH2+ + 2OH
       Cu(OH) + 4NH → [Cu(NH](OH)
       Cu2+ + 4NH → [Cu(NH2+

 次に,アルミニウムイオンAl3+,亜鉛(II)イオンZn2+,バリウムイオンBa2+の分離について考えてみましょう。まず水酸化物の違いに注目しましょう。水酸化アルミニウムは両性水酸化物です。水酸化亜鉛(II)Zn(OH)はアンモニア水に溶けます。そして,水酸化バリウムBa(OH)は水に溶けやすく,強塩基性でしたね。したがって,過剰のアンモニア水を加えると,水酸化アルミニウムAl(OH)が沈殿し,亜鉛はアンモニアの錯イオン,テトラアンミン亜鉛(II)イオン[Zn(NH2+となって溶け,バリウムイオンは単原子イオンのままで水溶液中に存在します。
 では,亜鉛(II)イオンとバリウムイオンを分離するには,どうすればよいでしょうか。水溶液に硫化水素水を加えると,亜鉛(II)イオンは硫化亜鉛ZnSとなって沈殿します。ただし,中性から塩基性の条件です。ところが,バリウムの硫化物は沈殿しません。
 最後に,水溶液中にバリウムイオンが残っていることをどのようにして確かめたらよいでしょうか。硫酸を加えて硫酸バリウムの白色沈殿ができれば確認できますね。
   

<Al3+,Zn2+,Ba2+の分離>  
1 0.3mol/ 硝酸アルミニウムAl(NO2m ,0.3mol/ 硝酸亜鉛(II)Zn(NO2m ,0.3mol/ 硝酸バリウムBa(NO2m 混合した試料を用意する。
2 試料に6mol/ アンモニアNH水を1m を加えてよく振り混ぜ,生じた沈殿をろ過する。ろ紙上の沈殿を少量の純水で洗い,洗った水は捨てる。
3 2のろ液に硫化水素HS水を3m 加えてよく振り混ぜ,生じた沈殿をろ過する。ろ紙上の沈殿を少量の純水で洗い,洗った水は捨てる。
4 3のろ液に3mol/ 硫酸HSOを加えてよく振り混ぜ,生じた沈殿をろ過する。

 実験結果を確認しましょう。



 カの反応;Al3+ + 3OH → Al(OH)
       Al3+ + 3NH + 3HO → Al(OH)↓ + 3NH
 キの反応;Zn(OH) + 4NH → [Zn(NH2+ + 2OH
       Zn(OH) + 4NH → [Zn(NH](OH)
       Zn2+ + 4NH → [Zn(NH2+
 クの反応;Ba2+ + 2OH → Ba(OH)  溶解度3.9/100g水(25℃)沈殿は生じない
 ケの反応;[Zn(NH2+ + HS → ZnS↓ + 2NH + 2NH
 サの反応;Ba2+ + SO2− → BaSO↓   
 それでは,考察です。

1.沈殿アの確認は,
 ろ紙上の沈殿にアンモニア水を注ぎ,ろ紙に硝酸を加えて酸性にすると,再び塩化銀の白色沈殿が生じる。
2.沈殿エの確認は,
 ろ紙上の沈殿に希塩酸を注ぎ,ろ紙を二等分し,一方にK[Fe(CN)]水溶液を加えると,濃青色沈殿が見られる。また,他方にKSCN水溶液を加えると,血赤色溶液が見られる。いずれもFe3+の検出である。

 このようにして,金属イオンを分離することができます。そのためには,各金属イオンの性質を理解し,それをうまく活用する必要があります。