2004年12月2日(木) 04ko2-35 脂肪族炭化水素
 さて,今日から有機化合物の勉強です。有機化合物については,炭素のところで簡単に説明しましたね。
 今日の学習内容は,次の通りです。
(1)アルカン
(2)アルケン
(3)アルキン
 メタンなどの鎖式の飽和炭化水素をアルカンと総称します。また,アルカンはメタン系炭化水素またはパラフィンともよばれます。エチレンなどの分子中に二重結合を1つ含み,他はすべて単結合の鎖式炭化水素をアルケンと総称します。アルケンは,エチレン系炭化水素またはオレフィンともよばれます。アセチレンなどの分子中に三重結合を1個含む鎖式炭化水素をアルキンと総称します。アルキンはアセチレン系炭化水素ともよばれます。今日は,アルカン,アルケン,アルキンについて勉強しましょう。
 炭素数1のアルカンはメタンです。メタンは,下のモデルのような正四面体構造をしており,正四面体の中心に炭素原子が,各頂点に4個の水素原子が位置しています。水素原子−炭素原子−水素原子の結合角は約109.5°になります。炭素数の多いアルカン分子では,各炭素原子がそれぞれ正四面体の中心に存在し,その頂点方向で他の原子と結合した構造をしています。

22 脂肪族炭化水素
(1) アルカン alkane C2n+2
 n=1 CH メタン methane

 
n=2 C エタン ehtane

 
n=3 C プロパン ropane

 
n=4 C10 ブタン butane
ブタン
イソブタン(2−メチルプロパン)
 ブタンとイソブタンは構造異性体
 異性体…分子式が同じで性質が異なる化合物
 構造異性体…分子の構造式が異なる異性体
 
 アルカンは光を当てるとハロゲン化する(置換反応)
 CH4 → CHCl → CHCl2 → CHCl3 → CCl
 メタン クロロメタン ジクロロメタン トリクロロメタン テトラクロロメタン
    (塩化メチル) (塩化メチレン) (クロロホルム) (四塩化炭素)
 置換反応…分子中の原子や原子団(基)が置き換わる反応

 アルケン分子では,二重結合をしている炭素原子2個と,これに結合する原子4個は同一平面上に存在し,結合角は約120°になります。アルケン分子では,構造異性体だけではなく,幾何異性体も存在することに注意して下さい。一般に炭素原子間の二重結合は,それを軸として回転することは難しいのです。このため,2−ブテンでは,下のモデルのように,メチル基が二重結合をはさんで反対側にあるトランス形と,同じ側にあるシス形の異性体が存在するのです。
  

(2) アルケン alkene Cn(n≧2)
 分子中に二重結合を1つ含む鎖式炭化水素
 n=2 C エチレン ethene

 n=3 C プロピレン propene

 n=4 C ブテン butene
メチルプロペン
1−ブテン
トランス−2−ブテン
シスー2−ブテン
 メチルプロペン,1−ブテン,2−ブテンは構造異性体
 トランス−2−ブテンとシス−2−ブテンはシス−トランス異性体
 シス−トランス異性体…炭素原子間の二重結合などが原因で生じる幾何異性体

 アルケンは付加反応しやすい
 CH=CH + Br → CHBr−CHBr
 エチレン            1,2−ジブロモエタン

 アルキン分子では,三重結合をしている炭素原子とこれに結合する2個の原子は,一直線上に存在します。したがって,結合角は180°になりますね。  

(3) アルキン alkyne C2n−2(n≧2)
 分子中に三重結合を1つ含む鎖式炭化水素
 n=2 C アセチレン ethyne

 n=3 C プロピン propyne

 n=4 C ブチン butyne
1−ブチン
2−ブチン
 1−ブチンと2−ブチンは構造異性体

 アルキンは付加反応しやすい
 CH≡CH + HCl → CH=CHCl 塩化ビニル
 CH≡CH + CHCOOH → CH=CHOCOCH 酢酸ビニル
 CH≡CH + HCN → CH=CHCN アクリロニトリル
 CH≡CH + HO → CHCHO アセトアルデヒド

 いきなりいろいろな化合物が出てきて,驚いている人も多いでしょう。しかし,心配はいりません。すぐになれます。炭素原子には不対電子が4個有り,4カ所で共有結合ができること,二重結合は不対電子が4個,三重結合は不対電子が6個関係していることを理解しておけば,構造はある程度類推できます。また,有機化合物には多くの慣用名がありますが,現在では命名法によって整理されています。命名法をマスターすれば,名前から構造を知ることができるのですよ。とても便利です。
      
 次回は,炭素数6の炭化水素について考えてみましょう。なぜ6だって?それはお楽しみ。

 それでは,今日の学習内容の確認です。
1.メタン分子は,どのようなかたちをしていますか?→正四面体構造
2.分子中の原子が,他の原子や原子団(基)に置き換わる反応を何といいますか?→置換反応
3.エチレン分子は,どのようなかたちをしていますか?→平面構造
4.不飽和結合が切れて他の原子が付加する反応を何といいますか?→付加反応
5.アセチレン分子は,どのようなかたちをしていますか?→直線構造
6.分子式が同じで性質が異なる化合物を何といいますか?→異性体
7.6のうちで,分子の構造が異なるものを何といいますか?→構造異性体
8.6のうちで,原子のつながり方や結合の種類は同じであるが,分子の立体的な構造が異なるために生じるものを何といいますか?→立体異性体