2004年12月14日(火) 04ko2-37 脂環式炭化水素と芳香族炭化水素
 脂肪族炭化水素の復習を兼ねて,炭素数6のアルカンを紹介しましょう。
 ヘキサンにはいくつ構造異性体があるかわかりますか。
n−ヘキサン
3−メチルペンタン
2−メチルペンタン
2,3−ジメチルブタン
2,2−ジメチルブタン
 実は5個もあるのです。それでは,脂環式炭化水素に移りましょう。今日の学習内容は,次の通りです。
(1)シクロアルカン
(2)シクロアルケン
(3)ベンゼン
 脂
環式炭化水素にはシクロアルカンとシクロアルケンがあります。ベンゼンは,芳香族炭化水素の仲間です。
                   

23 脂環式炭化水素と芳香族炭化水素
(1)シクロアルカン cycloalkane C≧3)
 環状構造を含む飽和炭化水素
 アルケンの異性体
 n=3 C シクロプロパン cyclopropane
 n=4 C シクロブタン cyclobutane
 n=5 C10 シクロペンタン cyclopentane

 
n=6 C12 シクロヘキサン cyclohexane
 性質はアルカンに似ており,主に置換反応

 次にシクロアルケンについて説明しましょう。

(2)シクロアルケン cycloalkene ≧3)
 環状構造中に二重結合を1個もつ炭化水素
 n=3 C シクロプロペン cyclopropene
 n=4 C シクロブテン cyclobutene
 n=5 C シクロペンテン cyclopentene

 n=6 C10 シクロヘキセン cyclohexene
 性質はアルケンとよく似ており,付加反応しやすい

 ベンゼンはの化学式がCですから,C=Cが3つあるはずです。しかし,不飽和結合の特徴である付加反応をしません。いったいどのような構造をしているのでしょうか。ベンゼンの構造決定には,長い年月が必要でした。
 単結合と二重結合とでは,結合距離が違います。二重結合の方が短いのです。ところが,ベンゼンは正六角形の平面構造をしていることがわかっています。つまり,炭素原子と炭素原子の結合は,単結合ではなく,また,二重結合でもないということになります。
                

(3)ベンゼン benzene C
 
C−C単結合の長さ=0.154nm nano=10−9
 C=C二重結合の長さ=0.133nm
 ベンゼン…1辺が0.140nmの正六角形→単結合と二重結合の中間の状態
 付加反応しにくい,置換反応の方が起こりやすい→不飽和結合の性質がない

 
2置換体が3種類ある
−キシレン
−キシレン
−キシレン

 
1置換体は1種類しかない
トルエン

 また,ベンゼンの2置換体が3種類有り,1置換体が1種類しかないということは,6個の水素原子は同等であり,6個の炭素原子も同等であることを意味しています。
 ところで,ベンゼンを発見した人は誰か知っていますか。実はマイケル・ファラデーが1825年に発見しているのです。ファラデーといえば電気分解を思い出す人が多いと思いますが。
                    
 そして,ベンゼンの正六角形構造説を提唱したのがドイツのケクレです。1865年のことです。彼の言葉を紹介します。「たまたま教科書執筆中容易に考えがまとまらないで,やむを得ず暖炉に椅子を寄せて仮眠におち入った。またもや原子は眼前におどり出した。今度は小さい原子が背後におとなしく引き下がって,大きな構造が眼の前にあらわれた。いろいろの形をとって,長い列をつくり,ヘビのようにからみ合ってきた。みよ!一つのヘビがほかのヘビの尾をくわえた。そして眼の前をぐるぐる廻った。自分は電撃を受けたように目をさました。今度もまた一晩中かかって構造を画いてみた。」こうしてベンゼンの有名な六角形の式がつくり出されました。
              
 それでは,今日の学習内容の確認です。
1.シクロアルカンの一般式は?→2n 
2.シクロアルカンの主な反応は?→置換反応
3.シクロアルケンの主な反応は?→付加反応
4.ベンゼン環のかたちは?→正六角形の平面構造
5.ベンゼンは付加反応を起こしやすいですか,起こしにくいですか?→起こしにくい