2004年12月14日(火) 04ko2-38 I 実験36−液体の炭化水素

 炭素数が6の炭化水素,ヘキサンC14,1−ヘキセンC12,シクロヘキサンC12,シクロヘキセンC10,ベンゼンCの性質を調べましょう。これらは室温で液体です。
 まず液体炭化水素の燃焼の観察です。これは,実験25でもやりましたが,炭素含有量と関係がありますね。あらかじめ,それぞれの炭化水素の炭素含有量を調べておくといいですね。たとえば,ヘキサンなら,炭素含有量=12×6/(12×6+1.0×14)×100≒84〔%〕となります。
              

実験36 液体の炭化水素
<燃焼の状態>
それぞれの炭化水素を脱脂綿にしみこませて点火する。発生するすすの量,炎の色に注意する。

 次に臭素との反応を調べてみましょう。これも実験25でやりましたね。不飽和結合があれば,付加反応が起こり,臭素水の色が消えるのです。

<臭素との反応>
それぞれの試験管に臭素水を約2m とり,各炭化水素を5〜6滴加えて振り混ぜ,しばらく静置して臭素水の色の変化を観察する。

 最後に過マンガン酸カリウムとの反応を調べてみましょう。これも実験25でやっています。不飽和結合は過マンガン酸カリウムによって酸化されやすいのです。過マンガン酸イオンが酸化剤としてはたらくときの変化を覚えていますか。
MnO + 8H + 5e → Mn2+ + 4H
ちなみに, MnOは赤紫色で,Mn2+は淡赤色です。しかし,飽和水溶液では確かに淡赤色ですが,多くのときは無色に見えますね。

<過マンガン酸カリウムとの反応>
それぞれの試験管に過マンガン酸カリウム水溶液を約2m とり,3mol/ 硫酸を0.5m 加えた後,各炭化水素を5〜6滴加えて振り混ぜ,しばらく静置して過マンガン酸カリウム水溶液の色を観察する。

 結果を記録する前に注意することがあります。今日使った液体炭化水素は水と混ざらないということです。したがって,臭素水や過マンガン酸カリウム水溶液を加えると,必ず2層になります。では,上下どちらの層が液体炭化水素なのでしょうか。それぞれの液体炭化水素の密度を知る必要がありますね。
名称 ヘキサン 1−ヘキセン シクロヘキサン シクロヘキセン ベンゼン
比重 0.66(20℃) 0.67(20℃) 0.78(20℃) 0.81(20℃) 0.88(20℃)
 したがって,すべて水に浮くことがわかります。では臭素付加が起こらず,かつ臭素が水よりも炭化水素に溶けやすかったら,どのような結果になるでしょうか。
 実験結果を整理して,考察を行いましょう。

名称 ヘキサン 1−ヘキセン シクロヘキサン シクロヘキセン ベンゼン
分子式 14 12 12 10
臭素 変化なし 無色 変化なし 無色 変化なし
過マンガン酸カリウム 変化なし 無色 変化なし 無色 変化なし
炭素含有量 84% 86% 86% 89% 92%


1.炭化水素が完全燃焼するとき
 2C14 + 19O → 12CO + 14H
 C12 + 9O → 6CO + 6H
 2C + 15O → 12CO + 6H
2.炭素原子間に二重結合をもつもの。(例外;ベンゼン)

炭化水素の燃焼は,次の順に起こる。
1.C−H結合が切れる
C−H  4H + O2 = 2HO + kJ
2.QkJにより,C−C結合が切れる
CーC  C + O2 = CO2 + kJ
が小さいとC−Cが残る→すすの発生,炎が明るくなる
Cの燃焼熱=394kJ/mol,Hの燃焼熱=286kJ/mol
C−Hの結合エネルギー=416kJ/mol,C−Cの結合エネルギー=286kJ/mol
したがって,炭素含有量の多い炭化水素ほど,すすが多く発生する。

1−ヘキセンとシクロヘキセンでは,臭素水の色が消えた。これは付加反応が起こったからで,1−ヘキセンとシクロヘキセンには不飽和結合があることがわかる。また,不飽和結合は,過マンガン酸カリウムによって酸化されやすいので,MnOの赤紫色が消える。このとき,マンガン原子の酸化数は,+7から+4または+2に変化する。Mn2+になれば,水溶液は無色になる(飽和溶液であれば淡赤色)。
 今日の実験のポイントは,次の通りです。
1.ヘキサンやシクロヘキサンには不飽和結合がないので,臭素付加は起こりません。
2.1−ヘキセンやシクロヘキセンには二重結合があるから,臭素付加が起こります。
3.ベンゼンには不飽和結合がありますが,臭素付加は起こりません。
4.炭素含有量の多い分子ほど,燃やしたときに多くのすすを出します。