2004年9月28日(火) 04ko3-38 過酸化水素の分解

 今日は,前の時間に行った実験2のデーターを使って,過酸化水素の分解における反応速度を計算で求めてみましょう。その結果,反応速度と濃度の関係,反応速度と温度の関係が説明できるでしょうか。楽しみですね。では,はじめましょう。
 今日の学習内容は,次の通りです。
(1)水蒸気圧の影響
(2)分解された過酸化水素の物質量
(3)過酸化水素水の濃度の変化量
(4)反応速度
 まず,最初に水蒸気圧の影響を考えておくことにしましょう。
  

23 過酸化水素の分解
(1) 水蒸気圧の影響
 29℃:40hPa(0.039atm)
 40℃:74hPa(0.073atm)

 有効数字2桁で計算しますから,水蒸気圧の影響は無視できませんね。
 それでは,分解された過酸化水素の物質量を求めてみましょう。過酸化水素の分解では,2molの過酸化水素から1molの酸素が発生します。したがって,一定時間に発生した酸素の体積の実測値をもとにして,水蒸気圧も考慮し,理想気体の状態方程式から酸素の物質量を計算します。求めた酸素の物質量を2倍すると,分解された過酸化水素の物質量になります。    

(2) 分解された過酸化水素の物質量
 理想気体の状態方程式pvnRTより,pv/(RT)〔mol〕
 2H → 2HO + O より,分解された過酸化水素の物質量は,発生した酸素の物質量の2倍
 したがって,
 分解された過酸化水素の物質量=2pv/(RT)〔mol〕
<結果の例>
濃度 温度 温度 時間 気圧 酸素の分圧 体積 酸素の物質量 過酸化水素の物質量
6% 29℃ 302K 30秒 1.00atm 0.96atm 22m 0.00085mol 0.0017mol
3% 29℃ 302K 30秒 1.00atm 0.96atm  9m 0.00035mol 0.00070mol
6% 40℃ 313K 30秒 1.00atm 0.93atm 63m 0.0023mol 0.0046mol
 次に過酸化水素水の濃度の変化量を求めることにしましょう。
過酸化水素水4.0m に塩化鉄(III)水溶液2.0m 加えていますから,水溶液の体積は6.0m になっています。したがって,濃度の変化量は分解された過酸化水素の物質量を体積で割ればよいことがわかりますね。

(3) 過酸化水素水の濃度の変化量
 Haq4.0m +FeClaq2.0m =6.0m だから,
 Δ[H]=過酸化水素の物質量/(6.0/1000)〔mol/
<結果の例>
濃度 温度 温度 過酸化水素の物質量 Δ[H
6% 29℃ 302K 0.0017mol 0.28mol/
3% 29℃ 302K 0.00070mol 0.12mol/
6% 40℃ 313K 0.0046mol 0.77mol/

 それでは,反応速度を求めることにしましょう。
 分解された過酸化水素の物質量を水溶液の体積で割ると,濃度の変化量が求まります。このとき,水溶液の体積は6.0m ですが,1/1000倍して の単位にすることを忘れないようにして下さい。そして,求めた濃度の変化量を時間で割ります。
     

(4) 反応速度
 反応速度をとすると,=|Δ[H]|/Δt 
<結果の例>
濃度 温度 時間 過酸化水素の物質量 Δ[H Δ[H]|/Δt 
6% 29℃ 30秒 0.0017mol 0.28mol/ 0.0093mol/( ・s)
3% 29℃ 30秒 0.00070mol 0.12mol/ 0.0040mol/( ・s
6% 40℃ 30秒 0.0046mol 0.77mol/ 0.026mol/( ・s
 反応物の濃度が大きくなると,反応速度は大きくなる。
 温度を10K上げると,反応速度は2〜3倍になる。

 温度が一定のとき,6%の過酸化水素では,0.0093mol/( ・s)ですが,3%では0.0040mol/( ・sになっています。確かに,反応物の濃度が大きくなると,反応速度は大きくなっていますね。
 濃度が一定のとき,29℃では0.0093mol/( ・s)ですが,40℃では0.026mol/( ・sになっています。確かに,温度を上げると,反応速度は大きくなっています。
 それでは,今日の学習内容の確認です。
1.分解された過酸化水素の物質量は,発生した酸素の物質量の何倍ですか→2倍
2.発生した酸素の物質量を求めるには,何が必要ですか?→酸素の分圧,体積,温度
3.分解された過酸化水素の物質量を何で割ると,濃度の変化量がわかりますか?→体積
4.濃度の変化量を何で割ると,反応速度がわかりますか?→時間