2005年4月14日(木) 05ko2-01 反応熱と熱化学方程式
 物質が変化するときは,必ず熱の出入りがあります。また,物質の状態変化に比べて化学変化のときには,多量の熱が発生したり吸収されたりします。どうして熱の出入りがあるのでしょうか。
 今日の学習内容は,次の通りです。
(1) 熱と熱量
(2) 反応熱
(3) 熱化学方程式
(4) いろいろな反応熱
です。
 発熱反応は,温度が高くなる反応です。携帯用カイロは,発熱反応を利用したものです。それに対して,冷却パックのように温度が下がる反応を吸熱反応といいます。熱を吸えば温度が高くなると考える人はいませんか。熱エネルギーを吸収して,それを違う形のエネルギーにするのです。ですから,周りの熱エネルギーを奪われたものは,熱運動が低下して温度が下がるわけです。
 

1 反応熱と熱化学方程式
(1)熱と熱量
 温かさや冷たさの度合い→温度
 温度は温度計を用いて測ることができる。
 物質を加熱する。→温度が上昇する。
 このとき物質が受け取ったエネルギーを熱エネルギー)といい,その量を熱量という。
 物質1gの温度を1℃上げるのに必要な熱量→比熱(単位:J/(g・℃)
 比熱〔J/(g・℃)〕,質量〔g〕の物質が,温度 〔℃〕上昇したとき,物質が吸収した熱量〔J〕は, 
〔J〕=〔J/(g・℃)〕〔g〕 〔℃〕
 水の比熱は4.2J/(g・℃)です。したがって,1gの水の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量は,=4.2×1×1=4.2〔J〕となりますね。4.2Jは1calと等しい熱量です。1Jは約0.24calです。
 
 次は,反応熱です。

(2)反応熱
 化学反応にともなって放出されたり吸収されたりする熱→反応熱
 熱を発生する化学反応→発熱反応
                (例) 2H + O2 → 2H
 熱を吸収する化学反応→吸熱反応
                (例) C(黒鉛) + HO → CO + H
 化学変化や状態変化にともなう熱の出入りは,熱化学方程式で表現します。このとき注意することは,→ではなく,=を使うことです。よく間違えますから,注意して下さい。熱化学方程式では,左辺と右辺のエネルギーの和が等しいことを意味します。下の2つの例を参考にして下さい。
  

(3)熱化学方程式
 化学反応式の右辺に反応熱をかき加え,左辺と右辺を等号)で結んだ式→熱化学方程式
 熱化学方程式はエネルギーに関する等式
 反応熱の符号…発熱反応は+,吸熱反応は−
 必要に応じて化学式のあとに物質の状態を(気)・(液)・(固),水溶液はaqと付記する。
 <例1>
 
 2H + O → 2H
 は気体の水素1molと気体の酸素1/2molのもっているエネルギーだから
 =H(気)+1/2O(気)…(1)
 は液体の水1molがもっているエネルギーだから
 =HO(液)…(2)
 =286〔kJ〕
 式を変形すると
 +286kJ…(3)
 (3)式に(1),(2)式を代入すると
 H(気)+1/2O(気)=HO(液)+286kJ

<例2>

 
 C(黒鉛) + HO → CO + H
 は黒鉛1molと気体の水1molのもっているエネルギーだから
 =C(黒鉛)+HO(気)…(1)
 は気体の一酸化炭素1molと気体の水素1molがもっているエネルギーだから
 =CO(気)+H(気)…(2)
 =131〔kJ〕
 式を変形すると
 −131kJ…(3)
 (3)式に(1),(2)式を代入すると
 C(黒鉛)+HO(気)=CO(気)+H(気)−131kJ 
 反応熱には,特別の名前で呼ばれているものがあります。それらの意味をしっかりと把握して下さい。中心になるものが1molになるよう定義されています。生成熱については,後ほど扱うことにします。

(4)いろいろな反応熱
 <燃焼熱
  物質1molが完全燃焼するときに発生する熱
  C(気) + 5O(気) = 3CO(気) + 4HO(液) + 2219kJ
 <溶解熱
  溶質1molを多量の溶媒に溶かしたときに出入りする熱
  NaOH(固) + aq = NaOHaq + 45kJ
 <中和熱
  酸と塩基の反応で,1molの水が生成するときに発生する熱
  HClaq + NaOHaq = NaClaq + HO(液) + 56.5kJ
 水溶液はaqと付記するのでしたね。aqは多量の水を表します。
 では,今日の勉強の確認です。
1.比熱〔J/(g・℃)〕,質量〔g〕の物質が, 〔℃〕上昇すると,この物質が得た熱量〔J〕はどのような式で示すことができますか?
2.熱を発生する化学変化を何といいますか?
3.熱を吸収する化学変化を何といいますか?
4.気体の水素1molと気体の酸素0.5molから液体の水ができる反応は,286kJの発熱反応です。この反応を熱化学方程式で示しなさい。
5.燃焼熱,中和熱,溶解熱をそれぞれ説明しなさい。
 次回は,熱の学習で最も大切なヘスの法則について勉強しましょう。


1.cmt
2.発熱反応
3.吸熱反応
4. H(気)+1/2O(気)=HO(液)+286kJ
5.燃焼熱は物質1molが完全燃焼するときに発生する熱,中和熱は酸と塩基の反応で1molの水が生成するときに発生する熱,溶解熱は溶質1molを多量の溶媒に溶かしたときに出入りする熱である。