2006年9月29日(金) 06ko3-34 アミノ酸
 今日は,アミノ酸について学びましょう。皆さんの家の台所には,うまみ調味料があるでしょう。
   
 主成分は,グルタミン酸ナトリウムです。グルタミン酸というアミノ酸のナトリウム塩ですね。うまみ調味料は,日本の池田菊苗(イケダキクナエ)氏が1908年に製造しています。
  

 池田菊苗は,薩摩藩士池田春苗の次男として京都に生まれました。昆布のうまみ成分を追い,1908年グルタミン酸ソーダを主成分とする調味料製法の特許を得て,1909年「味の素」の商品名で発表しました。1901年5〜6月のロンドン滞在中,夏目漱石と同じ下宿で暮らしともに語り合ったということです。
我が輩は猫である
 また,私たちの体はタンパク質からできていますが,そのタンパク質の構成単位がアミノ酸なのです。このように,アミノ酸は,私たちの生活や私たち自身に,とても関係の深いものです。
 今日の勉強の具体的な内容は,次の通りです。
(1)アミノ酸の構造
(2)光学異性体
(3)双性イオン
 それでは,最初はアミノ酸の構造についてです。アミノ基−NHとカルボキシル基−COOHに注目しましょう。

23 アミノ酸
  amino acids
(1)アミノ酸の構造 
 分子中にアミノ基-NH
カルボキシル基-COOHをもつ化合物
 
α-アミノ酸…カルボキシル基のついている炭素原子にアミノ基がついているアミノ酸


  

グリシン
 ところで,光学異性体を覚えていますね。念のために,異性体の復習をしておきましょう。
 分子式が同じで性質の異なる化合物が異性体ですね。異性体には,構造異性体,立体異性体などがあります。立体異性体には,幾何異性体(シス・トランス)以外に光学異性体があります。
 光学異性体は,互いに鏡像の関係にあって,重ね合わすことができない構造ですね。乳酸や酒石酸で勉強しました。
  
 グリシン以外のα-アミノ酸には光学異性体が存在するのです。しかし,自然とは不思議なもので,ほとんどがその異性体の片方しか存在しないのです。
    

(2)光学異性体
 
グリシン以外のアミノ酸のα-炭素原子→不斉炭素原子
 光学異性体が存在する
 天然のタンパク質を構成するα-アミノ酸→
ほとんどがL型
  
 主なα−アミノ酸のL型とD型のモデルを紹介しましょう。
L−アラニン D−アラニン L−セリン D−セリン
L−システイン D−システイン L−メチオニン D−メチオニン
L−グルタミン酸 D−グルタミン酸 L−リシン D−リシン
L−フェニルアラニン D−フェニルアラニン L−チロシン D−チロシン
 ところで,構造がよく似た分子では,一般に分子量が大きいほど分子間力が強くなり,融点・沸点が高くなりましたね。

 glycine NHCHCOOH(分子量75) 融点290℃(分解)
 propionic acid CHCHCOOH(分子量74) 融点21℃
   
 この違いは,どのように説明すればよいのでしょうか。実は,アミノ酸にはイオン結晶に似た性質があるのです。

(3)双性イオン
 
両性化合物…酸と塩基の両方の性質
 
分子内塩→イオン結晶に似た性質=水に溶けやすい, 融点(分解点)が高い
  
 水溶液中では,陽イオン⇔双性イオン⇔陰イオン
 pHの変化により,その比率が変わる
 平衡混合物の電荷が全体として0のときのpH→
等電点
 (例)グリシン pH5.97
    アラニン pH6.00
    グルタミン酸 pH3.22
    リシン pH9.74

 
 最後に,アスパムテームについて触れておきましょう。これはアスパラギン酸とフェニルアラニンから誘導された人工甘味料で,砂糖の約200倍の甘みを示します。
    
 アスパムテームは教科書でも紹介されていますが,ネット上では,その危険性と安全性の論争が行われています。
   
 それでは,今日の勉強の確認です。
1.アミノ酸が必ずもっている2種類の官能基は何ですか?
2.グリシン以外のアミノ酸には,どのような異性体が存在しますか?
3.アミノ酸は,酸と塩基の両方の性質を示します。このような化合物を何といいますか?
4.アミノ酸は,双性イオンです。そのため,どのような性質がありますか?
5.平衡混合物の電荷が全体として0となっているときのpHを何といいますか?


1.アミノ基-NHとカルボキシル基-COOH
2.光学異性体
3.両性化合物
4.比較的融点や分解点が高く,水に溶けやすい。
5.等電点