08ko-035 第35章 酸化と還元
 この章から,酸化と還元について学びましょう。酸化や還元については,中学校で学習していますね。どのような内容だったか思い出してみましょう。
思えているかな?
1.酸化とはどのような反応ですか?
物質と酸素が化合する反応のことをいう。
2.還元とはどのような反応ですか?
酸化物から酸素がとれる化学変化をいう。
 この章の学習内容は,次の通りです。
(1)酸素の授受と酸化還元
(2)水素の授受と酸化還元
(3)電子の授受と酸化還元
(4)酸化数
(5)酸化数と酸化還元
 それでは,最初は酸素の授受と酸化還元についてです。
 銅線を空気中で加熱すると,黒色の酸化銅(II)になります。また,酸化銅(II)を水素を送りながら熱すると,もとの銅に戻ります。このように,物質が酸素と化合したとき,その物質は酸化されたといいます。また,酸化物が酸素を失ったとき,その物質は還元されたといいます。
  

第35章 酸化と還元
(1)酸素の授受と酸化還元 
 物質が酸素と化合して酸化物になる反応→
酸化
 2Cu + O → 2CuO   
 酸化物が酸素を失う反応→
還元
 CuO + H → Cu + H

 
  
 火山の噴気口などに,黄色い硫黄が見られることがあります。
 
 この写真は,北海道の大雪山旭岳の噴火口です。火山ガスには硫化水素が含まれていますが,この硫化水素が空気中の酸素と反応して硫黄が生じたのです。この反応では,硫化水素に酸素を反応させたので酸化と考えることができますが,硫化水素は水素を失っていますね。このように,ある物質が水素を失う反応を酸化といい,逆に水素と結びつく反応を還元といいます。

(2)水素の授受と酸化還元 
 水素を失う反応→酸化
 水素と結びつく反応→還元
 2HS + O → 2S + 2H

 S + I → S + 2HI
 
 
 
 酸素の授受で考えたり,水素の授受で考えたり,酸化還元はややこしいですね。そこで,銅の酸化を電子に注目して考えてみましょう。
 銅が酸化されてできる酸化銅(II)はイオン結合でできています。つまり,銅(II)イオンCu2+と酸化物イオンO2-が結合したものです。したがって,銅が酸化されて酸化銅(II)になると,銅原子から銅(II)イオンに変化しているのです。そこで電子に注目すると,銅原子が電子を2個失って銅(II)イオンになっているのです。酸素は酸化物イオンになっていますから,電子が2個増えています。つまり,銅の酸化は,銅から酸素に電子が移動する反応と考えることができます。また,酸化銅(II)の還元では,水素から銅(II)イオンに電子が移動しています。
 
 電子が移動するわけですから,必ず電子を失うものと電子を受け取るものが存在します。すなわち,酸化と還元は必ず同時に起こるのです。このような反応を,酸化還元反応といいます。

(3)電子の授受と酸化還元 
 物質が電子を失う変化→酸化
 物質が電子を得る変化→還元
 酸化と還元は必ず同時に起こる→
酸化還元反応

 
 
 今までの話をまとめてみましょう。
授受
酸化 Oと結びつく 化合物がHを失う を失う
還元 酸化物がOを失う Hと結びつく を受け取る
 イオンでは電子の授受は比較的わかりやすいですが,分子では判断できません。そこで,登場するのが酸化数というものです。これは,すべての結合をイオン結合とみなして,電子の動きを考える方法です。では共有結合のとき,電子の動きをどのように扱うのでしょうか。共有電子対を引きつける強さを数値で表したものを何といいましたか?そう,電気陰性度ですね。共有電子対を電気陰性度の大きい原子の方にすべて割り当て,もとの原子のときの電子数との差を酸化数とします。
  

(4)酸化数 
 物質中の原子やイオンの酸化の程度を表すもの→
酸化数
 電子を 個失ったとき
+を忘れないこと
 電子を 個受け取ったとき

種類 酸化数の決め方
単体中の原子の酸化数 つねに0 (H:0)
単原子イオンの酸化数 イオンの価数に等しい Fe2+(Fe:+2)
化合物中の各原子の酸化数 水素原子の酸化数は+1
(例外的に−1)
酸素原子の酸化数は−2
(例外的に−1)
O(H:+1,O:−2)
NaH(Na:+1,H:−1)
(H:+,O:−1)
化合物中の各原子の酸化数 化合物全体の酸化数の総和は0 NH(H:+1,N:−3)
多原子イオンの酸化数 原子の酸化数の総和がイオンの価数に等しい CO2−(C:+4,O:−2)
総和=+4+(−2)×3=−2
 最後に,酸化数の増減を計算することで,酸化されたか還元されたかを判断する方法を紹介しましょう。ある原子に注目して,その原子の酸化数が増加しておれば酸化されています。逆に酸化数が減少しておれば還元されています。

(5)酸化数と酸化還元 
 2HS+O→2S+2H
 S原子の酸化数; −2
酸化数増加
 O原子の酸化数; −2
酸化数減少
 原子の酸化数が増加→酸化された
 原子の酸化数が減少→
還元された
 
 
 酸化数の求め方と,酸化数から酸化と還元を判断する方法は大切なので,しっかりと練習しておいてください。それでは,この章の学習内容を確認しましょう。
確認しよう
1.物質が酸素と化合して酸化物になる反応を何といいますか?
2.酸化物が酸素を失う反応を何といいますか?
3.物質が水素を失う反応を何といいますか?
4.物質が水素と化合する反応を何といいますか?
5.物資が電子を失う反応を何といいますか?
6.物質が電子を得る反応を何といいますか?
7.硫酸イオンの中のS原子の酸化数はいくらですか?
8.過マンガン酸カリウムの中のMn原子の酸化数はいくらですか?
9.原子の酸化数が減少する反応を何といいますか?


1.酸化
2.還元
3.酸化
4.還元
5.酸化
6.還元
7.+6
8.+7
9.還元