08ko-086 第86章 アゾ化合物
 この章では,アゾ化合物について学習しましょう。アゾ化合物とは,アゾ基-N=N-をもつ有機化合物のことです。芳香族アゾ化合物は,黄色や橙色,赤色の化合物であり,メチルオレンジやメチルレッドもアゾ化合物です。
思えているかな?
1.メチルオレンジは,pHの変化によってどのように色が変わりますか?
pH<3.1では赤色,pH>4.4では黄色になる。
2.メチルレッドは,pHの変化によってどのように色が変わりますか?
pH<4.2では赤色,pH>6.2では黄色になる。
3.フェノールフタレインは,pHの変化によってどのように色が変わりますか?
pH<8.0では無色,pH>9.8では赤色になる。  
 アゾ化合物は,色の化学です。ところで,色とは何でしょうか。化学的に色を説明することは,とても難しいのです。
 
 物質に色がついて見えるのは,その物質を構成する分子が特定の光を吸収してしまい,残りの光が反射して目に入ってくるからです。太陽の光には,可視光線のすべての波長の成分が含まれています。だから,太陽の光には色がなくなるのです。しかし,太陽の光の中の赤色や黄色の光が分子によって吸収されると,残りの青い色が見えるようになります。すなわち,分子が吸収する色の補色を私たちは色として見ているのです。
 では,いったい分子の何が色を吸収するのでしょうか。実は電子なのです。どのくらいの量の電子がどれだけ広い範囲をどの程度自由に動き回れるかで,どのような波長の光をどのような強さで吸収するかが決まってくるのです。
 この章の学習内容は,次の通りです。
(1)ジアゾ化
(2)カップリング
(3)アゾ化合物
(4)フェノールフタレイン
 フェノールフタレインは,pHの変化によって無色から赤色に変わりましたね。pHの変化によって分子の構造が変わるのです。
 それでは,ジアゾ化からはじめましょう。−N≡N の構造をもつジアゾニウム塩の生成反応をジアゾ化といいます。アニリンの希塩酸溶液に,5℃以下で亜硝酸ナトリウム水溶液を加えると,塩化ベンゼンジアゾニウムができます。

第86章 アゾ化合物
(1)ジアゾ化
 −N≡N の構造をもつジアゾニウム塩の生成反応→
ジアゾ化

 次は,カップリングです。塩化ベンゼンジアゾニウムの水溶液に,塩基性化でフェノールを反応させると,橙赤色の-ヒドロキシアゾベンゼンができます。塩化ベンゼンジアゾニウムの2個の窒素原子は電子が不足して+の電荷を帯びています。一方,フェノキシドイオンは,オルトとパラの位置が−の電荷を帯びています。そこで,下の図の赤色の矢印に新しい結合ができるのです。

(2)カップリング
 R-N≡N + H-R’ → R-N=N-R’ + H



−ヒドロキシアゾベンゼン
 アゾ基をもつ化合物をアゾ化合物といいます。-ヒドロキシアゾベンゼンはアゾ化合物です。ところで,メチルオレンジやメチルレッドを知っていますね。指示薬として実験でよく使います。メチルオレンジやメチルレッドもアゾ化合物です。では,どうしてpHが変化すると,メチルオレンジやメチルレッドの色が変わるのでしょうか。

(3)アゾ化合物
 アゾ基−N=N−をもつ化合物→アゾ化合物
 芳香族アゾ化合物…一般に黄色〜赤色



メチルオレンジ

メチルレッド
 赤色のメチルオレンジとメチルレッドには,共通の構造があることがわかりますね。その構造をキノン構造といい,一般に赤色を呈します。分子構造によって色が変化するのです。指示薬といえば,フェノールフタレインを思い出しますね。フェノールフタレインのフェノールとはC-OHかなと気づく人も多いと思います。最後に,フェノールフタレインの分子構造を紹介しましょう。

(4)フェノールフタレイン 
 代表的な指示薬で,無色pH8.2〜pH9.8赤色



フェノールフタレイン phenolphthalein
 分子の構造の変化によって色が変わるなんて,何か不思議な気がしませんか。分子の構造が変わると,分子が吸収する光の波長が変化するのですね。
 それでは,この章の学習内容の確認です。
確認しよう
1.アニリンの希塩酸溶液を5℃以下に冷やしながら亜硝酸ナトリウム水溶液を加えると,何ができますか?
2.1の水溶液は,5℃以上にすると何ができますか?
3.-N≡Nの構造をもつジアゾニウム塩の生成反応を何といいますか?
4.アゾ基-N=N-をもつ化合物を何といいますか?
5.4の化合物を生じるような反応を何といいますか?
6.芳香族アゾ化合物は,一般にどのような色をしていますか?


1.塩化ベンゼンジアゾニウム
2.フェノールと窒素と塩化水素
3.ジアゾ化
4.アゾ化合物
5.ジアゾカップリング
6.黄色から赤色