08ko-094 第94章 実験−分子量の測定
 この章では,理想気体の状態方程式を使ってシクロヘキサンC12の分子量を求める実験を紹介します。
思えているかな?
1.ヘキサンC14には,いくつの構造異性体がありましたか。
5つある。
2.5種類のヘキサンの構造異性体の構造式をかきなさい。
 この章の実験で使うのはシクロヘキサンです。シクロヘキサンの沸点は80.7です。沸点が80.7℃というのが実験のポイントになります。この章の実験のような方法をデュマ法といいます。
  

第94章 実験−分子量の測定
1 乾いたフラスコ,シリコンゴム栓,ガラス管の総質量
を測定する。
2 1のフラスコにシクロヘキサンを2.5mL 入れ,フラスコにデジタル温度計のセンサーを通したゴム栓をつける。
3 ビーカーに水を入れ,下図のように装置を組む。ビーカーには沸騰石を入れておく。
4 ビーカーを加熱し,おだやかに沸騰させる。
5 フラスコ内にあったシクロヘキサンがすべて気体になったら,さらに5分間加熱を続ける。このときのフラスコ内の蒸気の温度を記録する。
6 フラスコをビーカーの湯から取り出し,水道水で冷却する。
7 フラスコについた水をよく拭き取り,全体の質量
を測定する。
8 液体のシクロヘキサンを回収し,フラスコの口まで水で満たし,その水を体積 mL を測定する。
9 気圧計で,実験時の大気圧 hPaを測定する。

 
 
 実験結果を確認しましょう。
シクロヘキサンの蒸気の質量は,-ですね。この質量が0.70g,蒸気の温度 が92.0℃,フラスコの容積 が242.0mL,大気圧 が1013hPaであったとしましょう。さて,これらのデーターからシクロヘキサンの分子量をどのように求めたらよいのでしょうか。理想気体の状態方程式を思い出してください。
 気体定数R を用いると
 pVRT
  は1molあたりの体積だから,物質量〔mol〕のときの体積を〔L 〕とすると,V/
 pVRT に代入すると,pvnRT
 気体の体積 は,物質量と絶対温度 に比例し,圧力に反比例する
 →理想気体の状態方程式

 モル質量=〔g/mol〕,質量=〔g〕,物質量=〔mol〕のとき,pvnRT より pvwRT/
 したがって,
 wRT/(pv
 それでは,考察です。 

  ℃におけるフラスコ内のシクロヘキサンの蒸気の質量は,-で表される。
 気体の状態方程式を用いて,シクロヘキサンの分子量を求めると,
pv
nRTpvwRT/より,wRT/pv
=0.72×83.1×(98.0+273)/(1005×272.0/1000)
=81.20…
=81
ただし,単位は温度K,圧力hPa,体積Lである。
 シクロヘキサンの分子量を原子量から求めると,
12=12.0×6+1.01×12=84.0だから,実験値は分子量とほぼ一致している。
 誤差を生じる原因は,
シクロヘキサンがすべて気体になっていない。冷却したとき,空気がもとの量まで入っていない。フラスコに水がつく。
 この分子量の測定方法が適している物質は,
沸点が100℃以下で,空気より分子量の大きいもの。


 誤差の要因
 シクロヘキサンの質量,蒸気の温度,蒸気の圧力,蒸気の体積のうちで,分子量に最も影響を与えるものを検討する。
(1)質量が0.01g違うと,
wRT/pv
=0.73×83.1×371/(1005×272.0/1000)=82(82.33)
1.4%の誤差
(2)温度が1K違うと,
wRT/pv
=0.72×83.1×372/(1005×272.0/1000)=81(81.42)
0.27%の誤差
(3)圧力が1hPa違うと,
wRT/pv
=0.72×83.1×371/(1006×272.0/1000)=81(81.12)
0.099%の誤差
(4)体積が1mL 違うと,
wRT/pv
=0.72×83.1×371/(1005×273.0/1000)=81(80.91)
0.36%の誤差
 したがって,質量の影響が最も大きい。
 この章の実験のポイントは,次の通りです。
確認しよう
1.理想気体の状態方程式を使うと,分子量を求めることができます。ただし,気体定数を83.1〔hPa・L/(mol・K〕としたとき,温度は絶対温度〔K〕,圧力は〔hPa〕,体積は〔L 〕であることに注意してください。
   
2.デュマ法は,沸点が100℃以下の液体が適しています。
 
3.デュマ法では,質量の誤差の影響が最も大きくなります。質量の測定と,それに関わる操作に注意が必要です。