08ko-138 第138章 実験−アセトアミノフェン
 バファリンの主成分はアセチルサリチル酸ですが,小児用バファリンの主成分はアセトアミノフェンです。
   
思えているかな?
1.アスピリンの主成分は何ですか?
アセチルサリチル酸
2.アセチルサリチル酸をサリチル酸から合成する方法を説明しなさい。
サリチル酸C(OH)COOH(-)に無水酢酸(CHCOO)Oと濃硫酸HSOを加え,サリチル酸をアセチル化する。
3.サリチル酸メチルをサリチル酸から合成する方法を説明しなさい。
サリチル酸C(OH)COOH(-)にメタノールCHOHと濃硫酸HSOを加え,サリチル酸をエステル化する。
 この章では,−アミノフェノールC(OH)NH-)からアセトアミノフェンC(OH)NHCOCH-)を合成する実験を紹介します。 アミノ基のアセチル化です。

第138章 実験−アセトアミノフェン
<アセトアミノフェンの合成>
1 三角フラスコに,-アミノフェノールを1.0gとり,水20mLを加える。
2 操作1の三角フラスコを,スターラーにのせ,濃塩酸を0.8mL加える。
3 スターラーで撹拌しながら,無水酢酸1.0mLを少しずつ加える。
4 試験管に酢酸ナトリウム2gを加え,2mLの水に溶かす。
5 操作4でつくった水溶液を,少しずつ操作3の三角フラスコに加える。
6 三角フラスコを氷水で冷やし,得られた沈殿物を吸引ろ過する。
7 沈殿物を少量の水で再結晶する。
8 操作7で出てきた結晶をろ過する。

 
  
 6で得られた沈殿物には,未反応の-アミノフェノールが残っているかも知れません。また,無水酢酸や酢酸ナトリウムが付いているかも知れません。そこで,再結晶により精製します。 

<アセトアミノフェンの性質>  
9 -アミノフェノールと操作7で精製した結晶を,小さじ1杯ずつ2本の試験管にそれぞれ取り,少量の水を加えて加熱し結晶を溶かす。
10 一方の試験管に塩化鉄(III)FeCl水溶液を1〜2滴加える。他方の試験管にはさらし粉の飽和水溶液を数滴加える。


p-アミノフェノール 操作7で精製した結晶
塩化鉄(III)水溶液
さらし粉水溶液
 実験結果を確認しましょう。

p-アミノフェノール 操作7で精製した結晶
塩化鉄(III)水溶液 呈色する 呈色する
さらし粉水溶液 呈色する 呈色しない
 それでは,考察です。

 操作2の変化を化学反応式で示すと,
HO-C-NH + HCl → HO-C-NHCl
 操作10の変化からわかることは,
塩化鉄(III)反応を示すからフェノール類である。さらし粉による呈色反応を示さないからアミノ基がなくなっている。
 アセトアミノフェンの構造式を示すと,

 
 アセトアミノフェンは
解熱剤に使われている。



 新聞報道によると,アセトアミノフェンの飲み過ぎにより,肝障害の恐れがあるということである。アメリカ食品医薬局(FDA)の専門委は,解熱剤アセトアミノフェンの過剰摂取に注意を呼びかけている。取りすぎると肝障害を起こす恐れもあるという。 アセトアミノフェンは薬効が穏やかで,子どもの解熱にも使われる。処方薬を正しく使えば危険がないが,アセトアミノフェンを含む複数の市販薬を同時に服用すると,気づかぬうちに過剰摂取になる場合もある。同専門委は,アセトアミノフェンを含むすべての薬剤で成分表示を徹底するとともに,過剰摂取したら肝障害が起きる恐れがある点もラベルに明記するよう求めた。
 この章の実験のポイントは,次の通りです。
確認しよう
1.-アミノフェノールは水に溶けにくいですが,塩酸塩にするとよく溶けます。
2.-アミノフェノールに無水酢酸と酢酸ナトリウムを作用させると,アミノ基がアセチル化されます。
3.アセトアミノフェンは,塩化鉄(III)水溶液により呈色します。これにより,フェノール類であることがわかります。
4.アセトアミノフェンは,さらし粉水溶液を加えても呈色しません。これにより,アミノ基がなくなっていることがわかります。